無意識日記々

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一番視覚二番聴覚

桜流しの存在感は強烈で、並みの作品なら気圧されて体裁を為さないのであるが、EVAQは流石というか、踏ん張っている。それを考えると、河瀬直美の手腕は見事という他ない。

考えてみれば、当代随一ともいえる映画監督2人を従えて桜流しは鳴り響いているのだ。ヒカルの実力を考えれば当然とはいえ、豪華なものだな。

前に触れたように、桜流しにはEVAから引用したと思しき歌詞も含まれている。「そういえばこんな台詞もあったかな」という感覚を惹起する選択の妙はBeautiful Worldと共通だが、ストーリーがかなり限定的である点がやや異なる。

そこらへんの「話の広げ方」のバランスがある。河瀬監督は映像のコンセプトとして歌詞の『あなたが守った街のどこかで今日も響く健やかな産声』の部分をピックアップした。この歌の全てを象徴する、訳でもない所に重点を置くのは、インスパイアされたか否かのアーティストとしての感性の発露による訳で、何故か、という問いはあまり意味がない、というか河瀬監督の諸作品から要素を抽出して論じなければならないのでそれはこちらの手に余る。


単純に、新曲の発表に伴いPVを作る事が宇多田ヒカルの規定路線になった、と考える事も出来る。UTUBEを開設し、Goodbye Happinessを公開したあの手順は、その時だけでなく今後も続けていこう、と。SCv2の新曲5曲は全てタイアップがついていて、何れもシングルカットされて然るべきだったが、ビデオが作られたのはGoodbye Happinessだけだった。それはこの曲が映像のコンセプトを重視した特別な作品だったからだ、と何気なく思っていたが単に他の4曲のタイアップスパンとヒカルのスケジュールの折り合いがつかなくなっていた為だったのかもしれない。つまり、次に新曲を発表する時もまたUTUBEが最速になる、と。いや勿論その時々のコンセプトとシチュエーションによるけれど。

ふむ、まだ考えが、足りないな。引き続きこのテーマについて論じていきたい。