無意識日記々

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卵が先か鶏が先か

『あなたがまもったまちのどこかで
 きょうもひびくすこやかなうぶごえを
 きけたならきっとよろこぶでしょう
 わたしたちのつづきのあしおと』

歌詞というのは、今までやってきているように「こういう構造があるから」というだけでは、決まらない。というか、何故他の言葉ではなくこの言葉なのか、というのが説明できなければならない。つまり、違う可能性について言及し、それよりも完成形の方がモアベターである事を示して初めて意味のある解説だといえる。

ただ、歌詞という要素の特徴上、音韻上の要請と意味上の要請、それにメロディー&リズムからの要請が複雑に絡み合っているから、どのレベルからの要請でそうなっているかを見極めなければならない分、なかなかに難しい。


例えば、この2番の歌詞の場合はどうだろうか。幸いというか何というか、非常にわかりやすい理由で置かれている1行が存在する。最初の1行である。

「あなたがまもったまちのどこかで」

これは、元々知っていなければわかりっこないが、EVAでミサトがシンジに言った一言、「あなたがまもったまちなのよ」から来ている事は明白だ。これを主軸に歌詞をみていけば…

…と思うのすら、実は早計だ。今の話の流れでいけば、2番はまずこの最初の行が決まって、それに音韻を揃える感じで他のパーツが埋まっていく…と考えがちだが、本来はもっともっと広く考えなければならない。どういう事かというと、他の部分が先にあって、そちらからの要請で"後から"この1行が確定した可能性である。

EVAの名台詞というのは、なにもこの「あなたがまもったまちなのよ」に限定されるいわれはない。他に幾らでも「あ、これはEVAかな」と思わせられる台詞は存在する。別にこれでなくてもよかった筈なのである。あらゆる名台詞の中から、歌詞に合いそうな音韻をもった台詞をヒカルが選んできた、という可能性も考えなければならない。まぁでも、遅かれ早かれその選択は必要だ。論点は、音韻構造上の要請とどっちが先だったのか、という点なのだ。

しかし、今それを考えるのは、はっきり言って無理である。このあと、ひとつひとつ検証しながら、結局どうだったかについて推論していくしかない。こういうのも、インタビューでさくっと聴いてくれれば一気に解決するんだけれども。やっぱり全曲に対してオフィシャル・インタビューがあって然るべきなんだよなぁ。