無意識日記々

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「バカみたいなんかじゃない」?

This Is The Oneのアルバムとしての個性はその「あっさり感」だ。宇多田ヒカルといえば常に濃厚さが前面に出ているイメージだが、ここでのUtadaは全10曲36分というランニングタイムが総てを物語るかのように、すっきり爽やかにアルバム全体を纏めている。定型句ではこういう場合「その分短い時間の中にエッセンスがギュッと凝縮されている」と続ける所なのだが事実としてそんなでもないのでそうは書かない。トラックメイキングを他者に委ねた分、密度も薄まっている。

以前にも一度話に出した事があるが、我々はどちらを望んでいるのだろうか。This Is The Oneのような作りなら、楽という事はないが時間的にはかなり短い期間でアルバムが仕上がるだろう。間にツアーを挟んだとしても、2年に1枚のペースでリリースしていけるのではないか。それを言ったら「Distance」と「Deep River」の間は1年と3ヶ月しか間隔ないやんけ、と言われそうだがあの時期が尋常ではなかったという事でここはひとつ。

どちらがいいのだろう。多少の「あっさり感」もアリでのコンスタントな活動と、濃密に作り込まれたアルバムをいつ出るのやらとひたすら待つ生活と。どちらでもないような、両方やってきゃいいような。

思うに、どちらも求めなくていいんじゃないか。光が動いて、それに合わせる。それだけで十分Happyなんじゃないか。あれがいいこれがいい、というのは出てきたモノに対して言っていればいいのであって、これからの事、未来は光に任せちゃえばいい。案外、我々は今と過去について語っていればよく、未来については語らなくていいのかもしれない。どうあるべきかなんて、ないのだから。

それでも、私は未来について色々と思いを巡らせてしまう。不安の裏返しと言ってしまえばそれまでなのだが、やはり「期待」というのは人間にとって本源的な感情なのだなと痛感せずには居られない。メリットがあろうとデメリットがなかろうと(←問題ないやんw)、何があっても今までの光の残像を、光の通り道を、そのまま未来に映し出してみたくなるのだ。何故そうするか、と言われてもわからないままである。