無意識日記々

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あっさりとこってり

This Is The Oneの最大の特徴はその前作からのスパンの短さだ。

宇多田ヒカルの5thアルバムHEART STATIONがリリースされたのが2008年3月19日。そこから1年足らずの2009年の3月12日にTiTOはリリースされている。この嘗てない異常なスピードを達成する為に光は外部プロデューサーを複数起用するテに出た。

光本人は主に歌詞とメロディーを書き、アレンジメントとサウンド・プロダクションはプロデューサー・チームに任せる。それまでの過剰ともいえるセルフ・プロデュース体制とは打って変わった分業体制によって僅か一年で全10曲を揃えたのだ。HEART STATION制作時(2007年)にはある程度同時並行で取りかかっていたとはいえ、そね気になれば一年に一枚出せる事を証明した。

こんな既知の事をなんで蒸し返しているかというと、果たして我々は、光の復帰後にどういうペースで作品を発表していって貰いたいのか、というヴィジョンを考えてみて欲しいからである。

光が外部プロデューサーを積極的に起用すれば、TiTO並の質&量のアルバムを、2年に1枚位のペースでコンスタントにリリースでき、その間に半年位かけてツアーを敢行できる(リハーサル期間含め)。2年でこれだけ仕事しても尚光は数ヶ月の休みを次のサイクルの前に取れるだろう。2年間でアルバム1枚、ツアー1回である。

仮にHEART STATIONの質&量のアルバムをリリースするとなると、もっとツアーの前に休みをとるべきだ、となる。実際は光は2005年から4thアルバムを作り始め2006年3月には作り終え(リリースは6月)、4月からツアーのリハーサルとプリプロダクションに取りかかり(並行してプロモーション活動も行い)、9月にツアーを終えたと思ったらその後そんなに休んだ形跡もなくぼくはくまからどんどんと5thアルバムの制作にとりかかりきり、僅かそこから16ヶ月でフルアルバムをリリースしている。

が、こんなペースでやってたら間違いなく潰れる。コンスタント、というのはアルバム制作とツアー生活のサイクルが少なくとも5回位は続けられる事を想定している。その為には、TiTOのような"あっさりとした"(時間でいえば40分足らずの)内容のアルバムである事が必要だ。

でなくば、EXODUSやUBやHステのような濃密な作品を2年に一度作って、その代わりツアーは4年に1回位の感じになるのではないか。

光の体力を考えると、どちらかのサイクルになるだろう。果たして、ファンとしてはどちらが望ましいと思うだろう。今のうちにイメージをしておいてみては如何でしょうか。