無意識日記々

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Utada Hikaruは"いい音"で聴こう

高解像度といえばテレビの世界ではやれ4Kだの8Kだの16Kだのとえらい精細なモニターが次々と開発され販売されているらしい。技術の進歩によって精度が上がってゆく事については手放しで絶賛するけれど、どうも評判の方は芳しくない。理由は凄くシンプルで、「じゃあそんな綺麗な画面で何を見りゃいいんだよ」と。ごもっとも。

テレビというのは殆どの人にとって息抜きであり暇つぶしである。更に、全国ネットの地上波放送くらいしか観ない。それが最大多数だろう。バラエティー番組でも見て大いに笑ってうさをはらそう、なんて時に「綺麗な画面」なんて別に要らない。ブラウン管で十分である…というのがよく書かれる"4K批判"の内容だ。そらせやわな。

それは裏を返せば、それだけ綺麗な画面で提供される事で初めて威力を発揮する局面もある、という事だ。例えばただひたすらルーブル美術館を歩いて回る映像作品などは出来るだけ高画質大画面で観たいだろう。そういうソフトをどんどん作っていけばいい。

要は、どう見えるかの前に何を見せたいか、なのだ。見せたいものがあって、その為に高画質が必要だと認識されれば高画質テレビジョンはそれに呼応した成功を収めるだろう。それだけの事である。だから難しいんだけど。

音楽も同じである。いい音そのものに価値があるのではない。その高音質を通して初めて見えてくるもの聴こえてくるものが何らかの意味で"美しい"からこそ、その高音質が必要なのだ。ここを外してはいけない。

ここには、ジレンマがある。ではそもそも、高音質でないとみえてこないものがそこにあるとして、どうやってそれを伝えるのか? どうやって興味を持って貰うか。そこが難しい。結論からいえば、兎に角高音質で無理矢理にでも聴かせてしまうしか、ないだろう。そして、そういう機会が普段ない。そこのブレイクスルーをどうやって果たすかが問題なのだ。

特に音楽を携帯やパソコンで聴く機会が増えてしまった今という時代には、高音質で音楽を体験できる機会が物凄く少ない。テレビであれば、電気店でも幾らでもこれでもかと並ばせておけばアピールは出来るが、沢山のスピーカーから沢山の音楽をいっぺんに鳴らしても何が何だかわからない。もう沢山、てなものだろう。(それが言いたかっただけかい) なかなかリスニングルームで試聴とか、イヤフォンやヘッドフォンの店頭試聴とか、ハードルが高い。やっぱり、チャンスがないのである。

そんなだから、次にHikaruが新曲や新譜を出した時は、リスニング・パーティーを開いたらどうだろうか。音響抜群の空間で音源を聴かせる企画である。条件が整えば映画館でもいいし、ライブハウスなんかもありだろう。そういった特別な空間で新しい曲を聴く。なかなかにエキサイティングではあるまいか。何より、個人ではもてないようなオーディオシステムで音楽を聴くいい機会である。レコード会社だけではなく、オーディオメーカーとも提携すればよい。どれ位の人間が集まるかは、様々な要因に左右されるだろうが、昔はフィルムビデオコンサートとかもやったんだし、小規模でも実現すると嬉しい企画である。Hikaruがゲストとして来るか来ないかで随分と倍率が変わるだろうが、そういうのを目一杯利用してリスナーに「いい音」を届け、また、Hikaruの成した作品を観賞するには「いい音」が抜群に効果的であると知らしめれる意義は大きい。いつになるかはわからないが、こういった提案を照實さんあたりに振っておけばあるいは…。