無意識日記々

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熊淡四:「なんとなく」の表側2

KUMA POWER HOUR with Utada Hikaruは音楽番組である。トークが幾ら優れていようと、やはり音楽が"語って"くれないと体裁が整わない。そこらへんの流れを、Hikaruは自然に作り上げている。

一曲目が非常にわかりやすい。「インディーズって、どんなの?」という事で、"メジャーレーベルがいちばんやりそうもない"放送禁止用語を連発するPeachesの曲を選んだ。まずベタでわかりやすい所から行こうという意図がよくわかる。

最初にしたのはお金の話だ。これは、直接音楽と関係がない宣伝の規模とは素直に話が結び付くけれど、じゃあラジオで曲をかける時にいちばん誰にもわかりやすい音楽上の違いはあったりするの?という疑問に対して「放送禁止用語を連発する」という曲を選んだ。これは、こどもがやたらウンコだなんだと連発してゲラゲラ笑ってるのと大差無い。というか同じである。Shitって連呼してるんだからね。これはウンコというより(Hikaruさんの大好きな言葉でもある)クソの方だけども。

こういう無責任で自由でこどもっぽく、誰にも共感できる音楽上の「インディーズ感」を一曲目に提示する。トークでお金と宣伝という音楽ファンでなくてもわかる話をし、一曲目で放送禁止用語というとても食い付きのいいテーマで切り込んでくる。その食い付きのよさは、Hikaruが先にツイートした事があざといステマだと批難を受けた事からも伺える。どうしても聴いてみたくなるキーワードでないならば、ステマだとの謗りを受ける事もないからね。それがトークでの話か曲での話かが最初あやふやというかわからなかった所も味噌だろう。

こうやってHikaruは、実に自然に冒頭から、いや、事前のツイートから最小限の手順で一曲目を聴かせる所まで持っていく。気楽に制作しているようでいて、その実非常に無駄の少ない構成である。どこまで意図的なのかは、やっぱりよくわからないのだけれど。