無意識日記々

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老人が若者を心配してるフリをする

昨日の夜は「2013年HR/HMベストチューン13選」を呟いてみていた。今の邦楽を聴いていると、なかなか名曲に巡り会えず「ひょっとしておいら若い子たちの感性がわからなくなってる?」と自分の老いを心配して不安になるのだが、こうやってHR/HMを聴いていると大ベテランから中堅から新人まで満遍なくチョイス出来る。このジャンルが伝統芸化している、というのも多分にあるのだが、まぁでも結局、「今の邦楽シーンには才能が集まっていないのだなぁ」という結論に落ち着いて、今度は逆に「今の若い子はこの程度で満足しているのかなぁ」と彼らの事を心配し始める。

何しろ、我々の世代からすればブルーハーツも XもドリカムもB'zミスチルも何もかも皆デビューをみた"新人"だった訳で、その上彼らは概ねデビュー2、3年目位にはもう才能が全開だった。しかし今のアーティストは成長までに時間がかかる。デビュー10年で漸く芽が出るとかそういう感じ。青田買いが進みすぎたせいなのかどうかはわからないが、デビューしてすぐ若者を全国規模で熱狂させるような感覚は少ない。そう考えると、いきなり一曲目から別格扱いだった宇多田ヒカルのデビューなどは彼らにとって御伽噺でしかないのではないか。

この度その、"千年紀最後にして最高のデビューアルバム"である「FIRST LOVE」が、15周年記念盤として再発される。後にHikaruが作り上げていく数々の名盤たちと較べれば少し素朴な感じもあるが、楽曲のクォリティーは最初っからバカ高い。今の若い子たちがこのアルバムを聴いてどう思うのか、その点に興味がある。

もう15年だ。もしかしたら若いファンの中には、このアルバムを通して聴いた事がない人も居るかもしれない。Single Collectionだけ買って、或いはUTUBEだけ観てそこで止まっているかもしれない。彼らはAnother ChanceもGive Me A Reasonも知らないのだ。そして何より、このようにデビュー一発目からクライマックスという贅沢感がわからない。当時16歳の少女がここまでやってのけたという事実と、今自分たちが聴いている音楽とを照らし合わせて、老人の懐古趣味ではなく、本当に「昔は凄かった」んだという事を実感してうただきたい…

…のだが、安い方でも4000円するCDいきなり買ったりしないよねぇ。寧ろ、今回の発売で話題になって、あらためて中古盤コーナーで投げ売りになっている15年前の「FIRST LOVE」を買う気になってくれれば、いいんだけどな。