無意識日記々

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テレビ感覚の違い

慣れというのは面白いもんで、「6−3」というスコアを目にした場合、普通はダブルスコアで完勝/完敗と解釈するもんだが(例えば野球だったらね)、テニスウォッチャーの場合は「接戦やなぁ」となる。レシーバーのワンブレイクダウンでこうなるので確かに実質"1点差"なのだが、今回錦織が決勝進出を果たした事で普段テニスを観ない層もどれどれとなっている事を考えると、解説者の皆さんはこういう感覚的なところから始めたらどうかなと思った次第。

当然のようにこれを契機にWOWOWの契約者数が増えているそうな。それはいいとして、「地上波で放送して欲しい」という声は実際凄く多いだろう。たぶんこれだけ報道量が多いという事は地上波テレビでも随分錦織が取り上げられているのだろうから「地上波でそんだけ煽っといて地上波で放送しないなんて」と思うのは流れとして自然かもしれない。

こういった娯楽の数々を無料で享受している向きは、勿論実際はスポンサーを通して我々が対価を支払っている事を知識としては知っているかもしれないが、こうやって、全米OP決勝のように"観たい番組"が出てきた時に直接対価を支払う、という行動にすぐさま入れない以上、感覚的には"娯楽はタダで手に入るもの"だと思っている訳だ。普段の生活で、テレビ放送以外の娯楽で何か欲しいものがあったら普通に財布を開ける人でもそうなる。習慣による感覚の麻痺というのは斯様に人の心に入り込んでいる。

WOWOWでは、御存知のように、数ヶ月にわたって宇多田ヒカルのライブ作品を放送するという企画を続けてくれている。しかし、史上初のグランドスラム決勝進出の効果ですらこれくらいなのだから(いや普段からしたら一桁違う伸びだそうですが)、店頭で買える作品を放送した事がどれ位効果があったかはわからない。恐らく、微々たるものだろう。いや本来、いちばんのターゲットは既存の加入者の皆さんであって新規獲得は二の次かもわからないが。

なので、ヒカルが例えば今後WOWOW等の有料放送を軸にプロモーションを進めていく、という予想はなかなかに成り立ち難い。地上波テレビに出演する事になるのだろうが、果たしてそれがよい事なのかどうか未だによくわからない。もし今ヒカルが普段地上波テレビを観ていないのなら尚更だ。いや元々そんなに観てなかったか。友達のおばあちゃんにあげちゃったくらいだし。そこらへんの感覚の違いを予め踏まえておかないと、無料放送に慣れきった人たちと相互に食い違いが生じるだろう。復帰にあたっては、まずテレビを観る事から始めた方がいいかもわからんね…。