無意識日記々

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新姐

アーティスト活動休止前から既にもうそういう感じだったから今更かもしれないが、宇多田ヒカルが30代でシーンに復活するとなればもう完全に「姐さん」ポジションである。どれくらい頼もしいかってあの椎名林檎が「ヒカルちん帰ってきて」と甘えて懇願するレベルだ。ここまでくるともう姐さんというより大将と言いたくなってくるわ。

20代までのヒカルはなんだかんだで「若い女性」のポジションだった。幾らシーンを代表するアーティストといっても、周りがまず「あんなちっちゃい娘さんに頼るというのもなぁ」という気分になっていたんじゃないか。それが30代になれば随分軽減される。

テレビ番組を見ていると(いや、見てはいないか…ラテ欄をみると、かな)昔と違いお笑い芸人が"冠番組"を持てるようになるのは大体40代になってから…という状況が続いているようで、そうなれば30代といえば「まだまだ若手」と言っちゃえる空気である。一方でプロスポーツ選手は相変わらず30代になったら引退を考え始めるのが通例のままなので、随分乖離が激しいなぁと思う。

ミュージシャンも少し似たような所が出てきている。上が詰まっているというか、興行で大きな成果をあげられる大御所がまだまだ健在なので、10年以上キャリアを積まないとなかなかビッグアーティストとして認知されない。ヒカルのように、デビュー曲がいきなりダブルミリオンとか最近は全くない。10代でデビューするミュージシャンも幾らかは居るというのに。

余談だが、元ヤンキースのバーニー・ウィリアムズがミュージシャンとして活動しているという記事が出ていた。現役当時から彼のブルーズ・ギタリストとしての腕は有名だが、冗談でも何でもなく、プロスポーツ選手として30代まで活躍し、その後40代からミュージシャンとして活動する、なんていうプランは、それぞれのジャンルでの活躍年齢を考えると必ずしも不自然ではないかもしれない。

ここらへんの事情が今後どう影響してくるかだ。先に述べた通り、次は「宇多田ヒカル姐さん」ポジションが待望されている訳だが、28歳〜30数歳までアーティスト活動を休んだヒカルはその間の市場的蓄積がない。ないどころか目減りしているはずだ。しかし知名度と待望論は消えない。それこそ、バーニーのように、まるで違う畑で知名度を活かしてスタートするような、少し奇妙な感覚になるだろう。かいつまんで言えば「え、お前宇多田買ったんじゃなかったの!? お前が買うと思ってたからさぁ、、、。」と皆に言われるような感じになるのではないか。

裸の女王様だけは避けたい。期待と実状の乖離。「まだ若いのに」という枕詞のとれた状態で「やっぱり宇多田は凄い」と言ってもらえるようにするには、レコード会社もミュージシャン仲間もファンも全員が力合わせて頑張る必要が、あるだろう。


まぁ言うてる私は曲の出来がよければそれだけで満足なんですけるどもね。なんやねんななぁ。