無意識日記々

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テニス選手とは何の関係もない話

今週は男子テニスのツアー・ファイナルがイギリスで行われている。その年のランキングポイント上位8人のみが出場できる最高峰のトーナメントで、錦織圭はこれで2年連続の出場。1度出場するだけでも凄いのに天晴れな話だ。最初のリーグ戦のメンバーはその錦織に加えてジョコビッチフェデラーベルディヒ。容赦無ぇ。錦織はジョコビッチに完敗、ベルディヒに競り勝って今夜フェデラーとの大一番に向かう。

で、気になる事が。その錦織に敗北を喫した選手、ベルディヒの日本語表記が各記事でてんでバラバラな事だ。ベルディヒ、ベルディハ、ベルディフ。もうなんならベルディヘやベルディホもないのかという勢い。これは何なのだろう。

彼の名字のアルファベット表記は"Berdych"で、要はこの"ch"の部分がハになったりヒになったりフになったりしている訳だ。じゃあ実際の発音はどうなっているんだとWikipediaを開いて聴いてみたら(便利だねぇこの機能)、そもそも発音してるかどうかもわからない位曖昧な音だった。発音記号だと[x]で、そりゃあ何て発音してんのか、日本語表記にするのは無理のあるヤツだ。ハにもヒにもフにも聞こえる、或いはどれにも聞こえない、どうとでも言える感じ。だったらベルディヒって書いてもベルディハって書いてもベルディフって書いてもどうでもいいような気がするが、案外そうでもないのである。

というのは、カタカナ表記で大事なのは、実際の発音により近い音を選ぶのもあるにはあるのだが、それとともに「アクセントとイントネーションの誘導」という役割だ。これを考えるかどうかで表記の評価が変わってくる。

試しに、「ベルディハ」「ベルディフ」とそれぞれ発音してみて欲しい。前者は全体的に平板な発音になり(「ベ↓ル→ディ→ハ→」)、後者は頭にアクセントがくる(「べ↑ル↓ディ↓フ↓」」)。何故そうなるかのメカニズムは割愛するとして、実際にそう発音してしまう人は多いかと思う。特に、「ハ」を弱く発音する人は稀だ。

そして、実際の"Berdych"の発音を聴いてみるとアクセントは"e"の場所にくる。即ち、ベルディハよりベルディフに近い。従って、アクセントまで考慮に入れるならば、chの発音がハに聞こえようがフに聞こえようが、カタカナ表記としては「ベルディフ」を選ぶ方がより適切だ、という結論になる。

これと似たような事が英語でも起こる。つまり、外来語を英語表記する時に、音の発音を合わせただけでは妙なイントネーション&アクセントとなって違和感が生じる。故にそれを正しく誘導するには一工夫必要になる訳だ。

それを、"Utada"という名前の発音の仕方に応用してみると…という話からまた次回。