無意識日記々

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何故かテニスと卓球の話で終る夜

昨日のラファとロジャーによる26本のラリーは感動的だった。特にラストのショットは圧巻。ラファからのクロスのボールをライジングのカウンタートップスピンでストレートに抜き去った。フットワークの衰えをカバーする為だろうか今のロジャーは昔よりライジングを多用しているかもしれない。ライジングをカウンタートップスピンするだけでも凄いのにそれをダウンザラインで切り返すだなんてもう目眩がする。それをグランドスラム決勝の最終セットでカマすのだから神なのだなロジャーは。普段やっても十分凄いんだけどね。

卓球の方ではライジングのカウンタートップスピンを両ハンドでかけられるかどうかが技術的には最先端だろう。基本的に様々な技術はテニスより卓球が先んじている。ビヨン・ボルグがトップスピンでもてはやされる10年以上前に卓球ではループドライブが編み出されていた。テーブル・テニスという位だから明らかにテニスより後に出来たスポーツなのに、興味深い話ではある。で、その両ハンドによるライジングカウンタードライブスタイルを今完成に近付けているのが平野美宇で、先駆者である中国の劉詩ウェン(←雨冠に文)に実力的にも肉薄し始めている。

嗚呼、ついでに言っておくと、ワールドカップ全日本選手権をとった事で美宇が一歩リードと思われているかもしれないが、総合的な実力では伊藤美誠の方がやや上である。現時点では。単純に、美誠の方が頭がいい。まぁその差はほんの僅かなので「ほぼ互角」と言っておけばいいか。なお、流石にまだエースは石川佳純だが、2年も経てば美誠美宇ひなの方が強くなっている可能性が濃厚だ。しかし、国際大会は経験がものをいうので大きな怪我が無い限り世界ランクは皆大体同じ位だろう。つまり、トップ10に日本人選手が3〜4人居る状態がずっと続くだろう。

という予言が当たるかどうか。自分で楽しみにしておこう。2年位前に「5年もあれば早田ひなはTop20に定着する」と書いてもうその状況が目の前なのでちと焦っている。爆発力では黄金世代随一なので5月の世界選手権シングルスで出してみて欲しかったなぁ。次回19年に出れれば優勝するかもしれん、が、日本代表になるのが今はいちばん難しいよね。兎に角故障しないことを祈りたい。皆。

石川はプレースタイル的にあまりもう成長の余地が無い。それは美誠も同じなのだが、頭脳の出来が違うので応用力に差が出てくるだろう。美宇とひなはまだ改善の余地がたんまりある。ただ美宇のスタイルはまだ誰もやった事のないものなので、選手生命が短い恐れがある。ひなはいちばんの有望株だが、生き方的に「美宇美誠の後を追う」クセがついてしまっているのでそこから脱却できるかどうかが鍵だ。あと濱本とダブルス組んで世界選手権とって欲しかったんだが、東京五輪までは組ませて貰えそうにないねぇ。

テニスに話を戻すと、こうなれば次の四大大会、全仏オープンラファエル・ナダルが優勝候補に躍り出る。更に次のウィンブルドン、芝ではフェデラーがまた勝ち上がるかもしれない。10年前かよ。錦織が今年グランドスラムをとれる確率がぐっと下がったな。ジョコビッチとマレーが黙っている訳がないからだ。勿論ワウリンカやチリッチといったグランドスラマーも元気だし、今大会のプレーを見せられてはディミトロフにも可能性が出てきたと言わざるを得ない。デルポトロがどこまで復活するかも未知数だ。シーズンイン前は「世界ランク4位以内に入れればベスト4シードが貰えグランドスラムがぐっと近づく」と錦織は考えていただろうが、今やそれももうどうなるやら。ラファとロジャーが復活してしまうと、たとえベスト4シードを死守していても準々決勝までに彼らに当たってしまう。特にロジャーが試合数をセーブして世界ランクがあがりきらないまま次のグランドスラムを迎えてしまうと絶望的である。

このままだと、トップ選手の中で錦織だけがグランドスラムタイトルに手が届かない、という事態になりかねない。まずはマスターズ、というのが現実的だし、課題の心身のスタミナを考えるとツアーファイナル優勝の芽の方があるかもしれないが、やはり世間がみたいのは、そして本人が欲しているのはグランドスラム優勝だろう。年齢的にも、あの速いプレイスタイルを維持できる期間がそうそう長いとも思えないので、今年と来年の間にグランドスラムをとらないともう無理かもしれない。今回は千載一遇のチャンスだったのにそれを逃してしまい、眠れる獅子を起こしてしまった。兎に角、怪我無くシーズンを過ごして虎視眈々とチャンスを狙って欲しいものである。