『真夏の通り雨』の歌には一定のリズムがある。百聞は一聴に如かず。リズムを添えて歌詞を書き下してみよう。
『
ゆーめーのーとちゅうでめをさーましー
まぶたー・とーじ・てーも・もーど・れーな・いー
さっきまでせんめいだったせーかいー もーう・まぼーろしぃー
』
『
ゆーれーるー・わーかーばーにーてーをのーばしー
あなたー・にーお・もーい・はーせ・るーと・ぉきー
いつにーなったらーか・なーし・くーな・くーな・るー
おーーしぃえてーほーしいー
』
『
かーてーぬーいくさにいききーらしー
あなたーにーみ・をーこ・がーし・たーひ・びー
わすれちゃったらーわたーしーじゃ・なくーなるー
おーしーえてー・ただしいさよならのしかたを
』
『
きーぎ・がーめ・ぶーくー
つーき・ひーめ・ぐーるー
かーわ・らーな・いー
きーも・ちーを・つーた・えーた・いー
じーゆ・うーに.なーるー
じーゆ・うーが・あーるー
たーち・つーく・すー
みーお・くーり・びーと・のーか・げー
おもーい・でーた・ちーがー
ふいーに・わーた・しーをー
らーん・ぼーう・にー
つーか・んーで・はーな・さーな・いー
あーい・しーて・まーすー
なーお・もーふ・かーくー
ふーり・やーま・ぬー
まーな・つーの・とーお・りーあ・めー
』
おわかりうただけただろうか。みたまんまです。
曲がここまで来ると(3分33秒あたり)、バスドラが『ダダダン・ダダダン』と打たれ始める。これが曲の終わりまで続くのだが、最初は上記の歌のリズムと対立的に響く。
『
ゆーめーのー・とちゅうでーめーをーさーましー
(ダダダン・ダダダン・ダダダン・ダダダン)
まぶたー・とーじ・てーも・もーど・れーな・いー
(ダダダン・ダダダン・ダダダン・ダダダン)
さっき・まーでーあ・なーたがーいーたーみーらいー
たーずぅねてー あーしぃたへー
(ダダダン・ダダダン・ダダダン・ダダダン)
』
ここまでは対立的だ。ところが次の(曲の最後の)パートで、歌とバスドラのリズムが揃うのである。
『
・ずっと・やまない・やまない・あめーに
(ダダダン・ダダダン・ダダダン・ダダダン)
・ずっと・いえない・いえない・かわーき
(ダダダン・ダダダン・ダダダン・ダダダン)
』
つまり、歌のリズムが最後に変化する伏線をバスドラで張っているのだ。シンガーソングライターならではの発想である。この点に注意して、もう一度『真夏の通り雨』を聴いてみて欲しい。なぜ最後のパートが唐突にならずスッと心に入ってくるのか、その理由が実感出来る筈である。