無意識日記々

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カッコイイと思ってタバコ吸う女の子

『荒野の狼』で『カッコいいと思ってタバコ吸う女の子』という一節が出てくる。今はまだそうでもないが、このフレーズ、暫くしたら古臭くならないだろうかとちょっと危惧している。

折しも、現国会で「飲食店での喫煙全面禁止」というなかなかに急進的な案が議題にのぼろうとしているそうな。そこまでいくならもうタバコを法律で禁止するのと変わらないじゃないか…と思うけど、私個人には喫煙習慣が全く無いので、さっぱり本気でこの話題に乗れない。遠い国の、いや遠い星の、いやさ遠い銀河の出来事なんですよ最早。遠い銀河からの宇宙線にも今当たっているように、日々方々で受動喫煙してますけどね。誇張でもなんでもなく、左隣でタバコを吸う人と右隣でマリファナを吸う人に対して作る私の表情は全く同じである。「…はぁ、まぁ、どうぞ。」みたいなな。

そういう人間の戯言だと思ってお読みうただきたい。

20世紀、タバコは「大人のカッコいいアイテム」として宣伝されてきた。それはもう映画が活動写真と呼ばれていた頃から銀幕のスターたちがスポンサーからお金を貰ってカッコ良くタバコの煙をくゆらせていて。まさに「※ただしイケメンに限る」の最大の実例なのだが、人間の認識は脆いもので。「カッコいい人がタバコを吸っている」を「タバコを吸うとカッコいい」に誤解するのは本当に容易らしい。

今の「嫌煙」が主導権を握る世情では、つまりそもそもタバコを吸う事がカッコいい行為でなくなりつつあるのではないか、と思うのだ。まだ現在30歳以上の人間は銀幕やブラウン管でタバコがクールなアイテムとして扱われるのを見て育っているだろうから『荒野の狼』を耳にして女の子が得意気にかっこつけてる姿が容易に想像できるだろうが、今の20代以下は銀幕や液晶画面で喫煙行為は忌避されるべきものとして扱われているのを観て育っている。承太郎がまだ未成年だからって喫煙シーンは検閲にあったか如く黒く塗り潰されているんだぜ。やりすぎだろ、と90年代にJoJo第3部を愛読していた身としては思う。実際承太郎はカッコ良かったし。25年の時を経てアニメ化される頃には状況が一変していたのだ。

だから、と言っていいかどうかわからないが、もし私が沖田さんだったらヒカルに対して「2016年に出す新曲の歌詞としてこれはありなの?」と苦言を呈していただろう。意味はまだ通じる。しかし、やっぱりなんとなく"現代の空気"に合わなくなりつつあるんじゃないかと思ってしまう。多分、ヒカルはスタジオとかライブハウスとかそういう場所に居る事が多いもんだから&親が喫煙者だったもんだから、タバコに対する感覚が、控えめに言っても、私のような"遠い銀河"の存在とは未だに違っているのかもしれない。私の住んでる銀河にはタバコなんてそもそももう存在しないのだから。

もしかしたら、それすらも計算済みで歌詞を書いてあるのかもしれない。なにしろタイトルが20世紀を代表する独系作家のひとりヘルマン・ヘッセからとっているのだ。その「20世紀的な感覚」を歌に盛り込む所まで狙っていたら大したもんだ。そして、ヒカルは大した作詞家である。その線が濃厚だろう。

あと、どうでもいい追伸だが、私の前でタバコを吸いたいという人がいらっしゃったら、何の遠慮も断りも要らない。好きなだけ吸ってください。私はタバコが嫌いじゃないし、タバコを吸う人が嫌いなのでもない。ただ、私個人の生活に無い、というだけだ。今の話でタバコをマリファナに変えても全く同じ事がいえる。何の断りも遠慮もなく好きなだけ吸ってください。やっぱり私個人の生活にはマリファナもないのだけれど。しかし流石にまだ私の前でマリファナを吸った人は居ない。やはり法律の壁は分厚いのだ。飲食店での喫煙全面禁止は、やりようによってはとんでもなく効果があるかもしれない。愛煙家の方は是非気をつけて。嫌煙家の方々も頑張ってください。私はもう本当にどうでもいいのです。