そう、『Forevermore』の歌詞と宇多田ヒカルの最人気曲『First Love』の歌詞には、通ずる所が多いのだ。今回はその話。
恐らく、多分に意図的だろう。TBSドラマの主題歌として『First Love』『Flavor Of Life』に続く『F』で始まるラブ・ソングとして『Forevermore』というタイトルがつけられた。イヤホンとヘッドホンからしても、『For You』ともかかっている。幾つかの条件に見事に合致する訳だ。よく出来ている。
あぁ、別に『SAKURAドロップス』の事を忘れてるのではないよ(笑)。あれはドラマのタイトルが「First Love」だったんだからお腹いっぱいでしょう。
さて歌詞の話。
大体、『Forevermore』の基幹となるフレーズ『You're in my soul forevermore』からしてすぐさま『First Love』のこれまたキラーフレーズ『You will always be inside my heart』を連想せざるを得ない。前者を訳したら「いつまでもあなたは私の魂(の中)に在る」で後者が「いつでもあなたは私の心の中に在るでしょう」ですよ。大体同じなんです。これをどちらもサビのキメゼリフに持ってきているのだから意図的でなくて何というのか。ヒカルなりに、TBSサイドの制作陣の「First LoveやFlavor Of Lifeに次ぐ名曲を」という過度な期待感に応えたのでしょうて。そこはやはりプロなのですよ。
しかしやはり。決定的に違うところがあって。『First Love』では、皆さんご存知のように、こう歌われているのです。
『明日の今頃には
あなたはどこにいるんだろう
誰を想ってるんだろう』
最後は「だろう」じゃなくて「だはー」じゃないの?というツッコミは今回は躱す事にして。そう、ここでも『あなた』には『明日』があるのだ。当然のように。『Forevermore』の『あなた』には明日なんてものは、ない。或いは、あるかないかわからない。
ただ、『Forevermore』では『私の終わり』とか『最後の瞬間を待たずとも』のように、『私』の方が居なくなる展開も示唆されている。こちらが優勢になるとすればこの未来は「私が居なくなるせいであなたに会えない」即ち「私があなたに会える明日はない」という感じになる。いずれにせよ『Forevermore』が『First Lovd』と決定的に違うのはこの点であり、それは「昔のヒカル」と「今のヒカル」の決定的な違いでもある。矢吹丈は力石徹に永遠に会えないまま、世界チャンプへの階段を駆け上がっていくのである(唐突な『Show Me Love』ネタ、いや「あしたのジョー」ネタか)。
そして『First Love』は歌の締め括りに…って随分字数書いちゃったな。この続きはまた次回。いや土日挟むからいつになるやらだ。まぁ乞うご期待。