無意識日記々

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次の次まで考えて今、どうするか

『Fantome』を聴き返してみると(と言ってもいつもバックカタログを満遍なく味わっているので返すも何もないのだが)、やはり後半の神憑りぶりに戦かざるを得ない。こんな音出せる人他に居る?

凄味という点では過去最高だろう。しかし、それと同時に妙に隙が多く感じる部分もある。実際時々音圧が足りないというか、空間的にスカスカなアレンジになる時間帯があるが、そういったものも含めて「練り込み切れていない」という印象を受ける。完成度が高いなと感じるのは結局『桜流し』で、他の楽曲は「確固たるもの」を薄くしか感じさせない。

だから恐ろしいのだ。今自分が言っているような「完成度の低さ」みたいなものを携えた上で『Fantone』が今感じるような凄味を湛えているのだとすれば、完成度が上がり「確固たるもの」、即ち「もうこれ以上どの音も動かしたくない」と思えるレベルまで磨き上げる事が出来るとするなら、そこに現れるのは一体何になるのだろう? 人に作り出せるの? 何なの、もう。

『Fantome』はまだ、『人魚』は地味だとか『忘却』にKOHHは要らなかったんじゃないかとか色々言えた。それをもって「隙」と言ってもいいのだ。それが無くなったら、どうなるか。

とはいえ、それがすぐやってくると見做すのは早計だ。Hikaruならいつかやってくれるだろうが、まだまだ慌てるような時間じゃない。もっともっと周りを固める必要が出てくる。

LIVEの反応は重要である。『Utada United 2006』での経験を反映させて曲作りをしたのが名盤『HEART STATION』アルバムだった、という風な書き方をすれば伝わるだろうか。今、次に出るアルバムはツアー前にリリースされる。創作・制作周期を考えれば、ツアーの先にある、即ち次の次のアルバムはとんでもない事になるだろう、と。

別に『ULTRA BLUE』が『HEART STATION』に劣るとは思わない。しかし、『HEART STATION』の方が売れたのは事実だ。そこに至るにあたり、ヒカルが「ニーズに応える」姿勢をより強く出していったのは、直前のツアーでダイレクトなリアクションをたくさん貰ったからだ。皆も、コンサートに行ける事になったら、自分なりの方法でよいので、何らかのリアクションをとる事をお勧めする。何気ない貴方の一言が、新たな名作を生むかもしれないよ。