無意識日記々

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BGM : "Strange Kind Of Woman"

『初恋』の歌詞には根本的な疑問がある。なぜ"恋"の歌なのにリフレインが"I love you"ではなく"I need you"なのだろうか?

確かに、恋の歌において"I want you","I need you","I love you"は「三種の神器」であっていついかなる時でもこの3つを自由に繰り出してよいとされている(…初耳(笑))。なので、別に"I love you"でも"I need you"でもどっちでもいいんだけど今回はたまたま"I need you"だったんだよ―というのは説得力がある。これで話を終わらせてもよいだろう。

しかし、ここをこだわってみたい。徒労かもしれんけど。

「初恋」を訳すと"first love"である。従って皆『First Love』を思い出すのだが、ここでは『be my love』『remember to love』『love song』と見事にlove三本立てである。衒いはない。これがあるから『初恋』が『need』なのに引っ掛かる。

逆から考える。ヒカルの歌詞で"need"が印象的な場面はどこだろう。種々御意見はあるだろうが私は『FINAL DISTANCE』ラストの『I need to be with you』の『need』を挙げたい。

それまで、前身の『DISTANCE』から数えてずっと『I wanna be with you (now)』だった箇所が『I need to be with you』にメタモルフォーゼするのだ。初めてそれに気がついた時は感動した。蛹がかえって蝶になるように、"wanna"が"need to"に生まれ変わる。この場面に立ち会って私は「ヒカルにとっては"want"から"need"に移り変わるのが成長なんだな」と当時一人で合点していたものだ。

余談になるが、"I need you"を日本語に訳すときどうするか。「君が必要だ」というのがオーソドックスなんだろうが、「必要」という言葉がどうにも堅い。"I want you"なら「君が欲しい」、"I love you"なら「愛してる」とそれなりにストレートな感じがするのに"I need you"で引っ掛かる。これが昔からの悩みだ。

私もいい訳が思いつかなくて困っているのだが、ひとまず今は「僕には君が要る」と訳す事にしている。「いる」と読むので口に出すと「僕には君が居る」と区別がつかない。だがだからこそそこがいい。"I love you"が「愛してる」なら"I need you"は「君がいる」がいいんじゃないか。今はそう思っている。

で、思うに『初恋』の『I need you』は「君がいる」という意味なんじゃないか。「必要だ」という意味の「要る」でもあり、かつ「居る」でもある。君がそこにいる事と、もし居ないなら居て呉れなきゃ私でいられない、という意味の両方を託して『I need you』が生まれたんじゃないかと考えてみたい。

やや牽強付会気味だが、そんなに悪くはないと思っているので今後ちょっと検証してみようかなと。