無意識日記々

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怪優:竹中直人の持ち腐れ

「ペンギンハイウェイ」、芸達者な声優が居並ぶ中、1人だけ違和感のあった人物が居る。ハマモトさんのお父さん役の竹中直人だ。どうにも自分には合わなかったな。竹中直人が喋っているようにしか聞こえなかった。

いや、ハマモトさんのお父さんは劇中そこまで大した役割を果たさないから、型通りの演技をしといてくれればそれで十分だったんだが、或いはそのせいで竹中直人も気が乗らなかったのかもしれない。もう何十年も前から大河ドラマの主役を張るような大御所俳優が友情出演でもないのに(彼からすれば)端役で起用されては、仕事を流してしまっても仕方のないこと、か。でも仮にそうだとしても、そんな事情はこちらにはわからない。銀幕から感じたことを、こちらは素直に表明するだけだ。

単純に、1人だけ声優としての技術ランクが落ちる。そう思った。キャラの声になりきれていないのだ。特にこの作品、北香那蒼井優が徹底してそのキャラになりきって声を作り出しているから、何の工夫もなく殆ど竹中直人のままで演じられては乖離感が出ても無理はない。

これは彼の問題というより起用した方の失策だろう。本来竹中直人という人は演技力で圧倒するというよりはそのキャラクターの存在感で押し切るタイプ。名優というより怪優と言った方がいい役者である。それをハマモトさんのお父さんのような、ある意味普通の役で起用しても持ち味が活きなかった。

しかし、だからこそ端役であるが故に作品自体への影響が然程でなかったのは幸いだ。常識からいうとちょっと台詞量・登場シーンともに多過ぎるけれども一応映画の箔付けの為の友情出演だったと割り切っておこうかな。彼の本来の演技自体は面白いと思うしね。また別の作品で持ち味を発揮してくれることだろう。