無意識日記々

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#裸婦抱く 最後の1曲

『Goodbye Happiness』。宇多田ヒカル最初の12年の粋を集めた名曲である。神聖で快活で誠実で壮大で。茶目っ気と達観。郷愁と謳歌。これだけの広い広いスペクトルを示せるのだから、アンコールのラストはこれしかないレベルである。いや勿論他にもサマになるレパートリーには事欠かないんだけどねHikaru Utadaは。

『WILD LIFE』の時はしっかりとスタジオ・バージョン通りの歌唱を披露しながらも余裕が無くいっぱいいっぱいで歌い方がぎこちなかったが今夜はそんなこともなく。ヒカルは『Automatic』に引き続いてステージを楽しむ余裕さえ感じさせていた。

『子どもダマしさ 浮世なんざ』のパートではライブ・バージョンということでバンド全体の演奏を止めるブレイクが入る。ここも外連味無く見栄を切るようにそつなく歌い上げる。この大胆さもライブならではだろう。これまた残念ながらSYNERGY CHORUSの面々が来日する事は無くバックコーラスは相変わらず録音だったがヒカルの歌唱に何の澱みも無い。特に、皆が期待する

『おお 万物が廻り廻る
 Oh ダーリン、ダーリン
 誰かに乗り換えたりしません
 Only You』

の場面は、『初恋』の時のように勢い込んでやや上ずりながらもフェイク無しで真正面から歌い切った。このカタルシスたるや筆舌に尽くし難かった。2時間を超えてもまだまだ歌えそうな迫力とエネルギー。ライブならでは、という言葉はここでこそ使いたいよね。

3番のサビが終わりサウンドが徐々に収斂してゆく。最後、シンセで特徴的な降下フレーズが奏でられて如何にもライブ・バージョンだなーと感心していたのだが終演後にスタジオ・バージョンを聴き直してみたらちゃんとそのフレーズが入ってて唖然とした。俺は8年間このアレンジに気づかなかったのか、何百回この曲を聴いてきたと思ってんだ…と落胆したが、ちょっと違ったわそれ。そのフレーズがそこで鳴っているのは知っていたが、ライブでは全然ボリュームが違っていたためあたかも全然知らないメロディであるかのように錯覚していた、というのがどうやら真実のようで。各楽器の音量のバランス次第でフレーズの印象が激変するだなんて基本的なことなんだけど、いざこうやって実践されると、ほんと面白いもんだなと思ったね。


…おぉ、ライブのラストだというのに凄まじい“余談"で締めてしまった(笑)。、、、ま、いっかw



場内アナウンスが流れる。

「以上をもちまして、本日の公演は総て終了致しました。どなたさまも、足許にお気をつけの上、お忘れ物のないよう、お帰り下さい。本日は『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』にご来場頂き、誠にありがとうございました。」


パチパチパチ。

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…さて公演が終わった。いや〜書き切ったねぇ、と言いたいところだが、違うよね。ここから総評を語るところが無意識日記の本番だよね(笑)。というわけで、まだまだ続きますよ。多分、新曲の話題と交互な感じでねー。