無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

何でも許してくれるヒカルが許さないものそれが予断


あんまりにも情報が過多過ぎて混乱極まっているのだが、恐ろしい事に宇多田ヒカル初のベストアルバム『SCIENCE FICTION』には『何色でもない花』に加えて更にもう1曲の新曲が収録される予定だという。もうどうすりゃいいんだこれ!? 本当に今年って宇多田ヒカルの長い音楽家人生の中で最大出力になるんじゃないの。出来ればその音楽家人生は半世紀くらい続いて欲しいんだけど、まぁどうなりますやら。


少し長いスパンで考えたとき、アルバム『BADモード』は微分不可能というか、変節点みたいな作品になっている気がする。人間活動期を終え…いや、終わったわけじゃないか…人としての由無し事を身につけて戻ってきて以降、『Fantôme』から『初恋』にかけて、生楽器を重用し、日本語の発音を見直し、少しずつ全体的なテンポが落ち着いていく中で、『Laughter In The Dark Tour 2018』でもシックなドレスが似合う大人の女性としてのアピール度も増してベテランらしさみたいなものを身につけていく過程にあるのかなと思っていたのに、気がついたら"Bangers You Can Cry To"、腰の強いダンサブルなサウンドがかなり復活…どころか、過去最高にストロングなスタイルを纏って『BADモード』がリリースされたように思う。だがただ闇雲に四つ打ちし続けるのではなく、リズム構成も曲展開も全く一筋縄で行く気配のない楽曲をこれでもかと並び立ててきていて、そこらへんがデビューしたての青二才とは全く異なる熟練を伝えてくれてもいた。パワフルでフレッシュなのに奥行きが凄い、いいとこどりにも程があるスタイルに劇的に進化していたのだ。


そこからの流れで『Gold 〜また逢う日まで〜』は、更に強靭なイケイケソングになるところを、周りが忖度してバラードに仕向けたかのようで、結局元々は『(Taku's Twice Upon A Time Remix)』に近いサウンドだった事が推し量られ、やはり『BADモード』から更に加速している事が見て取れていたのだが、ここにきて『何色でもない花』は基本的にはピアノ主体のバラード寄りで、そうでありながらやはりこちらの予想を裏切るどころかそろそろ「宇多田ヒカルの新曲の構成を予測するなんて烏滸がましい」と言われ始めるレベルにまでまるで予想をさせてくれない驚愕と混沌の曲展開と編曲術でこちらを大きく惑わしてくれてきている。控え目に言って最高なのだが、え、じゃあ次の新曲って一体何? 何になるの?(汗) どうなるんだこれ??


単純に考えると、次はいよいよアルバム『SCIENCE FICTION』の直接のリーダー・トラックとなるのだろう。つまりそれは、『ULTRA BLUE』にとっての『This Is Love』であり、『HEART STATION』にとっての『Fight The Blues』であり、『Single Collection Vol.2』にとっての『Goodbye Happiness』であり、『Fantôme』にとっての『道』であり、『初恋』にとっての『Play A Love Song』であり、『BADモード』にとっての『BADモード』になるのだろう。つまり、大体アルバムの1曲目っぽい曲が次に来るのではないかと、そんな事を予想するのだ。具体的な曲調はそれこそ予想なんてまるで出来ないけれど、この流れだとつまり、曲名が『Science Fiction '24』とかである可能性が30 %くらい出てきたのかな? そんな事をついつい期待してしまうのでしありました。


どうやら、ヒカルの口調からしても、ベストアルバムと言いつつも単なるコンピレーション(編集盤)という意識はさらさら無く、もう殆ど新作制作の意識で来ていそうなので、いやこれは、最後の最後に控えた新曲の方向性は大変気になるところなのでしたよ。オリジナル・アルバムと同じように音楽性の変化と進化に敏感になって然るべきなのではないかなと。はてさて、ベテランとしての落ち着きが復活するのか、それとも『BADモード』〜『Gold〜』のイケイケ路線が更に加速されるのか、これは結構余談と予断を許さない展開になっていくのかも、しれませんな!