まずは私の欲しいベストアルバム2案をサクッと。
最初ベストアルバムをリリースすると聞いて私が漏らした一言は、「茨の道を選んだのか…無茶しやがって…」というものだった。
今までの経緯を踏まえれば、別に『Single Collection Vol.3』をリリースしてもよかった筈なのだ。既にオリジナルアルバムは『Fantôme』『初恋』『BADモード』と3枚溜まっているし、最近曲の『Gold ~また逢う日まで~』もある。これは、『First Love』『Distance』『DEEP RIVER』のオリジナルアルバム3枚と『COLORS』が揃った状態でリリースされた『Single Collection Vol.1』とほぼ同様の条件なのだから。
なのに、ベストアルバムを選択した。ベストアルバムの厄介な所は、前回指摘した通り「選曲が自由」な点にある。どの曲をどんな選び方で選んでも、必ず「なぜあの曲は入っていないのか」という意見が届くのだから。そりゃ厄介ですよね。
シングルコレクションならその問題はない。選曲に揺らぎはなく、あの曲が入ってないこの曲はどうしたんだと言う余地がないからね。そこを敢えてのベストアルバムのリリースなのだから、敢えて苦難の道を選んだというのがこちらの素直な感想なのだ。
実際にあの曲が入ってない云々と言い始めたら最終的には全曲収録になって、「宇多田ヒカルオリジナルアルバム8枚組(or10枚組)ボックスセット」を以てして「宇多田ヒカルのベストアルバム」と銘打つことになり…いやそれでもいい気がするなぁ。それで何の問題もないわな。「宇多田ヒカルは常にベストの曲をリリースしてきたので、ベストアルバムは全曲集になります。」─まさしくその通りだもの。ということで、これがヒカルがベストアルバムをリリースする場合の正解例のひとつとなるだろう。
他方、昨今はタイム・パフォーマンスという言葉もよく見掛けるようになり「出来るだけ短い時間で手っ取り早くコンテンツを摂取したい」というニーズは日に日に高まるばかり。であるなら、全曲のサビか出だしの数十秒のトラックを並べてベストアルバムと言い張るのも面白い。「宇多田ヒカルの25年の歴史をCD1枚で振り返る」とかね。…あ、今の曲数だと秒数どうだろうな? 80分収録でも4800秒だもんね。なかなか厳しいなぁもぉ。
という、冗談のようでいて自分としては結構欲しい二案については残念ながら実現可能性は低そうですね。
結局、「宇多田ヒカルがベストアルバムを出します!」ときいて最大多数が思うのは
「『Automatic』や『First Love』や『Can You Keep A Secret?』や『Flavor Of Life』や『花束を君に』や『One Last Kiss』が1枚のCDに!」
みたいなとこだろう。となるとまぁ無難に、今ならYouTubeや各サブスクでの再生回数上位15曲位を収めたら、皆が聴きたい1枚が出来上がるわね…
…というので、果たして宇多田ヒカル制作陣が満足するのかというと、きっと否なんだよね。そんな誰でも作れそうなアルバムを自分たちの名前のクレジット入りで世に問おうだなんて…いやまぁ『Single Collection Vol.1』はそんな感じだったけど…『Single Collection Vol.2』は色々と気合が入っていたからねぇ。特にそこは、ヒカル自身が参画するか否かという点が非常に違っていてな。それがどんな違いを生むかというと…
…まだヒカルからの、今回の「SCIENCE FICTION PROJECT」に関する発言は、ないか。「TOMORROW」をリポストしたっきりだね。固定も『Gold~』のまんまだし。なので、ベストアルバムに対してどれくらいのテンションで、どれくらいの関わりがあるかはまだ推測するしかないけれど、トレイラーでの表情の格好良さからしたら、かなり関わってそうな気がするので、そのつもりで以後予想を立てていくことにしますかね。