無意識日記々

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私ノ死メ切リ

「プロフェッショナル仕事の流儀」で庵野秀明が「どこで仕事の線を引くのか」との問いに「締切」と答えていたのが妙に印象に残っていて。テレビを観ていた人達からは「あんた全然締切守ってへんがな」と総ツッコミを喰らっていたのだろうな。シンエヴァなんて何年延期になったのか最早わからないほどだったし。

だがふと思ったのだ。「そういえば締切って英語で“Deadline”、死線っていうんだよな」と。「自分の命より、作品。」と言い切る彼にとって、自分の生命がいつか終わる事自体が締切みたいなものなのかもしれないなと。いつか死ぬのだからそれまでのどこかで完成させないと、と。即ち「締切」=「死」なのではないかなぁと。だから別に誰かの決めた締切の時期がいつなのかとかは大した問題じゃなかったのかもしれない。「自分が生きているうちに」が彼の本当の締切なのだから。

我らが宇多田ヒカルさんも締切ギリギリまで作業する事で有名である。(?)

2000.1.23

『あと七時間以内に詞とメロディーを完成させないとこのバラード、アルバムに収録できなくなっちゃうよー!!あひーーーっ』

http://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_91.html

2002.4.18

『22日にレコーディング全部終わらせないと、アウトです、間に合わなくなります。

いや〜、参ったなこりゃ!

(@ ̄▽ ̄@) はっはっはっはっ』

http://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_86.html

2002.11.21

『実はこの前の「歌詞が早めに完成したのー(得意気)!るんるん!」めいた内容の書き込みをしたあとの4日間、地獄のような『自問自答歌詞書き直し大戦争』というものが私の内界で勃発して、結局歌入れの直前にやっと完成したのでありました、、、』

http://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_84.html

2008.2.1

『次の日までに最後の一曲を作らなきゃいけない!っていう日の夜、最初は、しばらくあたためていたバラードを作り始めたんだけど、なんか地味で辛気くさくてもう耐えらんなくなって、そのバラードに「てめーむかつくんだよ!うりゃあ!ゴミ箱へいっちまえ!」とあっさり見切りをつけて、深夜ゼロ時過ぎから「やけくそ」を作りだしたの。

お昼までに完成してスタジオに持って行けて本当によかった (ノ_・、)』

http://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_25.html

……このように昔はリリースの度に締切に追われていましたとさ。決して作業を怠けていて遅くなっていたのではなく、ギリギリまでクォリティを追究している為に訪れていた修羅場の数々。確かに、締切がなかったらいつまでもいつまでもクォリティを上げようと完成させられなかったのかもしれないね。人の命に限りがある以上、どこかでReleaseしてあげないと、作品はいつまで経っても生命を授かれないのでした。

なお。上記のメッセで話題になっている曲はそれぞれ『Eternally』、『Deep River』、『COLORS』、『Celebrate』で、いいのかな?

いずれも素晴らしいハイクオリティを誇る楽曲たち。死線を彷徨って完成させてくれただけのことはありますね。たった今のヒカルも、もしかしたら最新の締切と戦っている最中なのかもしれない……。

のかのかのかのか

そして気がついたら「不滅のあなたへ」第一話放送まであと3日というね。おちおちゆっくり他の曲について語ってもいられないぜ。往復ビンタもろてる感。贅沢だなぁ……。

とはいえ、その主題歌たる『PINK BLOOD』に関しては何の情報も追加されていない訳で。明明後日になったら配信されるのかサンプルが聴けるのかTVサイズがリリースされるのか。いや、第一話で流れるかどうかもまだわからない。流れない事はないかもしれないが、アニメの第一話といえばオープニング・テーマ曲をエンディングまで引っ張る手法もあるのだし、22時50分に主題歌だけ聴いたらもう寝ようとか思ってる人は思わぬ夜更かしを強いられるかもしれない。といっても25分程度だけれど。

曲自体に関する不安は最早無い。聴く前からほぼ無かったけど今回も安定の……という言葉が似合わない程しっかり攻めている。こちらは漫画原作を7巻まで読んだところで、なんだろう、これどこまでアニメ化するんだ2期や3期はあるのかいという気持ちなんだが、仮にそうやって「進撃の巨人」並みに何年もかけてずっと続いていくというのなら、2期や3期の主題歌を担当する人は相当なプレッシャーになるだろうなと容易に想像できるほど『PINK BLOOD』でのヒカルの仕事ぶりはえげつない。早くも2期3期の主題歌もヒカルに依頼される未来が見える……いや俺はなんとか王子様じゃないぞ。

と、妄想が先走った所で現実にまで戻ってくると、如何にも宇多田ヒカルな作風の『PINK BLOOD』、『One Last Kiss』の後という順序はどう影響するのだか。アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の主題歌に引き続きNHKで放送されるアニメの主題歌、という流れな。今までアニメ映画の主題歌と連続テレビ実写ドラマの主題歌は幾つも担当してきたがTVシリーズの連続アニメ作品の主題歌は初めてな訳で、そのスペシャル感が22時50分からという時間帯でどう作用するのか。豪華ととるか違和ととるか反応は様々だろうけれども、でもまぁ今は配信で見る人も多いしそこまで気にしなくていいかもしれない。

それに伴って『PINK BLOOD』が宇多田ヒカルの新曲としてどうリリースされていくかも気にかかる。折しも『One Last Kiss』のミニアルバムがゴールドディスクを獲得(10万枚っすか)したという報が入ってきた所だが、これを追い風にしてシングルCDが発売される可能性はあるのか。また、先程も触れたが、フルコーラスの音源が配信される前にTVサイズのリリースはあったりするのか。今までそんなのとは無縁だったけれど、TVシリーズアニメ自体が初なのだから今回初めての試みがあってもおかしくない。あるとしたらタイミングはいつになるのか。放送のあった直後、例えば4月12日の深夜24時からなのか、いやその24時間前日曜日の深夜からもう聴けるのか、或いは今回はただテレビで放送されるだけに留まるのか。朝の連続テレビ小説の時のように60秒バージョンと90秒バージョンがあったりするのかなぁ。どうだろう。何より、フルコーラスのリリースはいつなのか、そしてミュージック・ビデオはもう撮られたのか……? 今回はアニメ映像でもいいと思うんだけどNHKが噛んでるとそういう扱いってどうなるのやら。

とまぁ現時点ではわからないことだらけなんだけど、週明けにはまた新しい情報があるのかもしれないからこの週末はのんびり待つことに致しますかね。

Beautiful 7分5秒

さて、前回書いたようにライブで仮にもし「新劇場版パート」が実現するなら

桜流し』〜

『One Last Kiss』〜

『Beautiful World (Da Capo Version)』

という曲順がいいと思われる。だがDa Capoを、それこそ『Passion』のライブ・バージョンのようにパワーアップさせればもっと凄い事になるのではないか。

『Da Capo』の演奏時間は約5分59秒。これだけの長さの割にここではオリジナルの歌詞をかなりすっとばしている。

『根性無しかもしれない

 それでいいけど』

の次にいきなり

『僕の世界消えるまで

 会えぬなら』

まで飛ぶのよね。つまり、一番のBメロから二番のサビメロにワープしてしまうのだ(Da Capo3:38あたり)。前に触れた通りこの構成はDa Capoが「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」のエンディング・スタッフ・ロールで流される為尺が決まっていたせい(もあるの)だと思われる。

ならば、尺に制限の無いライブ・コンサートでならDa Capoですっ飛ばした

『もしも願一つだけ叶うなら

 君の側で眠らせて

 どんな場所でもいいよ

 Beautiful World

 迷わず君だけを見つめている

 Beautiful Boy

 自分の美しさ まだ知らないの

 It's Only Love

 どんなことでもやってみて

 損をしたって少し経験値上がる

 新聞なんかいらない

 肝心なことが載ってない

 最近調子どうだい?

 元気にしてるなら

 別にいいけど』

の部分を丸ごとDa Capoに挿入して歌ってしまえばいい。アレンジもほぼオリジナルのままでいいだろう。Da Capoでも一番Bメロに到達する頃にはほぼオリジナルと変わりない音圧になっているのでそのまま繋いでも違和感はない筈だ。

ここを丸ごと付け加えるとするとオリジナルでは1:47〜3:03の部分だから76秒演奏時間が増える事になり、総合計で『Beautiful World (Live Version)』は約7分05秒のランニング・タイムになる。なかなかの長編だが、寧ろ自分は「これこそ本来の姿だ」と膝を叩くだろうな。…半月板損傷のおそれ。

『Passion』がライブでopening versionとSingle Versionの両方のパートから構成されていたりした事実を鑑みると、こういう想定を荒唐無稽だとは思わない。寧ろ今までの傾向からしたらかなりオーソドックスな予想とも言える。更にここに『Beautiful World (PLANiTb Acoustica Mix)』風にアレンジされたパートが加わったり最後に『Beautiful World (WILD LIFE Live Version)』のような『oh!oh! Yeah!Yeah!』パートが加わったりすると更に盛り上がりそうだが……それらを纏めあげたらとんでもないお祭り騒ぎになりそうね。うん、なりくん、頑張るならここだと思うよ?

桜壱美

『Beautiful World』をライブで歌うにあたってどんなライブ・バージョンを構築するかというのは興味をそそられる点だが、それについて考える時にはまずコンサートにおける曲順についても考えなくてはならない。

曲順とアレンジは切っても切れない関係にある。『Laughter In The Dark Tour 2018』で『COLORS』がサビから始まったのは前曲からメドレー&シームレスで繋げていたから可能だった訳でな。ああいう事も踏まえた上でアレンジは考えないといけない。

それと、曲順に関してはヒカルのサービス精神というのもあってなぁ。ファンが考える「宇多田さん、そこのところはどうなんすか?」という気になる点に関して真正面から答えてくれるところがあるのだヒカルは。

『WILD LIFE』ではその開催の三年前に超特大ヒット(一時的にダウンロード世界一を記録したのだから誇張ではない)した『Flavor Of Life (Ballad Version)』の初披露ということで『First Love』以来の宇多田バラードの代表曲としてそこでの二曲の位置づけって本人の中ではどんな感じなの?という疑問が湧く中、『First Love』の次に『Flavor Of Life』を歌うことで二曲の関係性についてハッキリと答えを出した。時を経た大ヒットに誇りを持っている、と。

同じように『Laughter In The Dark Tour 2018』でも『初恋』という『First Love』を意識させる新曲、しかもアルバムタイトルトラックを初披露するということで二曲の立ち位置を問う声がある中、ここでも『First Love』の直後に『初恋』を歌って聴衆にその成長進化ぶりをまざまざと見せつけた。

いやほんと、サービス精神旺盛なんですよ。

となると次のツアーでこういう「ファンの期待や疑問や気になる点に答える」サービス精神を発揮するるならば、「エヴァンゲリオン新劇場版」が完結した今、その主題歌たちをどう歌うかについての答えを出さなくてはならない。いやそこは本来アーティストのワガママを通してもいいとこなんだけど、ヒカルはあれだけ突出した才能があっても聴衆を顧客として尊重する。いやまぁ「期待には応える」ってだけなんですが、それが恐ろしく難しいことでね。こう全曲大絶賛ではわかりにくいかもしれないけれど。

なれば序破Q:ⅠⅠそれぞれの主題歌、

『Beautiful World』

『Beautiful World (PLANiTb Acoustica Mix) 』

桜流し

『One Last Kiss』

『Beautiful World (Da Capo Version) 』

の5曲についてもライブで何らかの答えを返したいところ。そして、『Beautiful World』シリーズはなんとかして一曲に纏めないといけない。ボヘサマの『First Love -John Luongo Remix』みたいに同じ曲を違うバージョンでもう一度、というのは名曲が溢れだしているベテランアーティストとなった今のヒカルには無理な相談だ。

ということで

『Beautiful World』(何らかのライブバージョン)

桜流し

『One Last Kiss』

の三曲をどうフィーチャーするかという話になる。

この日記では散々「『桜流し』から『Beautiful World』に流れたら悶絶する」と繰り返してきた。その感想は今でも変わらないが、試しに『桜流し』から『One Last Kiss』への流れを聴いてみるとこれもまた素晴らしい! 何しろQのラストを飾った『桜流し』からシンエヴァと同型の構成を持った『One Last Kiss』という流れなのだからまるで映画の連なりを追体験するかのようでな。ここから更に『Beautiful World (Da Capo Version)』に繋ぐと鉄壁だ。

桜流し』〜

『One Last Kiss』〜

『Beautiful World (Da Capo Version)』

この三曲をこの順で立て続けに演奏する、というのがライブコンサートでの「新劇場版パート」への模範解答となるだろう。まずはこれが基本で、そこから肉付けを考えていきたいが……次回に続くかどうかはまたその時の気分次第で、ね。

Passion Live Metamorphosing

ライブ・バージョンの例としていちばんに取り上げたいのは『Passion』だ。スタジオ・バージョンを聴いた時点で既にどこか遙か遠くまで運んでくれるような神秘的な歌だが、これを生で体験するともっと凄いことになる。

『Passion』はスタジオ・バージョンのバリエーションが多彩だ。ヒカルの歌が入っているのは

『Passion (Single Version)』

『Passion (opening version)』

『Passion - after the battle -』

の3つ。Single Version と after the battleの初出は2005年12月発売の『Passion』のシングル盤だ。opening versionは「キングダムハーツ」のサントラに収録されているゲームのオープニング用の音源である。

Single Versionの特徴は最後に『ずっと前に好きだった人〜』以下の所謂『年賀状パート』がある所。

opening versionの特徴は中間部にセルフ逆回転呪文詠唱パートがある所。『I need more affection than you know』を逆から歌っているそうな。

after the battleの特徴は、歌唱のみを楽曲前半に、演奏のみを後半にそれぞれ抽出しているところ。バラードパートからインストパートに推移する構成となっている。

この3つの音源を様々に駆使して、『Passion』のライブ・バージョンは構成されている。

『Passion』が初めてライブ・コンサートで演奏されたのは『UTADA UNITED 2006』だ。一曲目にヒカルが奈落からせり上がってきて朗々と歌い始める場面は非常に感動的だった。最初ワンコーラスをバラードとして歌ってそこからリズムインして最後は『ずっと前に好きだった人〜』のパートも歌うので、いわばこれは『after the battle』と『Single Version』が“United”したバージョンとなっている。

次にヒカルが日本で『Passion』を披露したのは2010年の『WILD LIFE』だ。『ULTRA BLUE』の曲順そのままに『Eclipse (Interlude)』から雪崩込む流れも圧巻だったが、本編では中間部に『I need more affection than you know』の逆回転呪文詠唱パートをフィーチャーし、ラストを年賀状パートで〆ていることからこちらは『opening version』+『Single Version』ということになるか。

国内のコンサートではこの2つなのだが、私が真に度肝を抜かれたのは2010年1月〜2月に開催された全米&英国ツアー『In The Flesh 2010』でのバージョンだ。もう思い出すだけで震え上がりそう。そもそも、アメリカ&イギリス・ツアーということで、最初Utadaの曲ばかり即ち英語の歌ばかり歌っていたから日本語の歌が歌われるなんてつゆぞ思ってなかった所で「日本語の歌も歌うよ」とヒカルがMCで言って始まったのが『Passion』のあの神秘的なイントロダクションだった時点で既にノックアウトだったのに、そこから初体験となる『I need more affection than you know』逆回転詠唱パート(『WILD LIFE』より11ヶ月早かったのだ)を経て二番の歌詞が英語!『Sanctuary』!もうビックリ!─で、そのまま一頻り英語で『Sanctuary』を歌った挙句すかさず『ずっと前に好きだった人〜』と年賀状パートまで歌うもんだからまるで竜巻に巻き込まれたかのように翻弄されてしまったですよ。本当に凄かったなあれは……驚きの連続だった。ということで『In The Flesh 2010』は『Passion + Sanctuary』×『opening version』&『Single Version』という感じだ。どないなっとんねん。

まとめるとこう。

UTADA UNITED 2006』:『after the battle』+『Single Version』

『WILD LIFE』:『opening version』+『Single Version』

『In The Flesh 2010』:『Passion + Sanctuary』×『opening version』&『Single Version』

……凄いな…。つまり、『Passion』はライブごとに何度も姿を変えて私の前に舞い降りてくれたのだ。本当にスペシャルな曲である。

斯様に、スタジオ・バージョンが多種存在する楽曲をヒカルはライブごとに様々な組み合わせ方を施しながら歌ってきている訳である。これを踏まえれば、現在三種類のバージョンがある『Beautiful World』がライブで一体どんなメタモルフォーゼを成し遂げるのか、、、想像もつかないよね。でもそれを敢えて考えてみるのもありかな? てことでなんか思いついたら次回書いてみようかなっと。