無意識日記々

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トラック・バイ・トラック・ディスク

歌詞の表示&ジャンプ機能の他に、是非実現してほしいのが"全トラック・ディスク"だ。ご存知のようにCDの音は基本的に2ch、DVD/Blu-rayでも5.1ch、7.1ch等である。聴く側が2つのヘッドフォン、2つのスピーカーから聴くのだから当然なのだが、折角ここまで来たのだからそうやってミックスダウンする前の音、ひとつひとつのトラックが独立して聴けるようにはならないか。

例えばヒカルの曲は、断定は出来ないが三宅さん(おぉ、明日から新会社設立だな☆)のコメントによると48トラック重ねているらしい。これを定位や音響、音量などを調節して2chサウンドに落とし込んでいく訳だが、その前の段階でディスクに記録してしまうのである。今のCDが2chで700MBだからその24倍で大体17GBか。100トラック程度なら今のBlurayでも収まる訳か。

ミックスというのは音楽記録上最も重要な作業で、音源の選定やらバランスやら、その正確な情報をデジタルデータとして記録するのは大変な作業だ。トラックバイトラックという概念が素直に成立する場面は恐らく殆どないのではないか。確かに、実現は難しそうだ。何しろ、"まるでそこで演奏しているような一体感"を2chに凝縮したものをまた元に分離しなおすのだから。

もっと話をシンプルにしようか。せめて、ヴォーカルトラックだけでも自由にオンオフできないものか。ワンタッチで声が消せる。つまり、総ての楽曲のカラオケバージョンが聴けるようになる。これなら、ニーズはあるだろう。今のカラオケバージョンはメインヴォーカルのみを除いたモノなので、バックコーラスの凝っているヒカルの曲では純粋なインストゥルメンタルトラックになりづらい。そういった音もつけたり消したり自在に出来るようになればどうだろう。カラオケの練習になるし、誰でも気軽に"歌ってみた"が可能になる。ニーズはあると思うのだが。

そうやってトラックバイトラックで作成した音源を即座にMP3に変換してくれる機能なんかもあったら嬉しい―とか書いてると、なんだかどんどん完成品としての音楽が破壊されていく感じがしてイヤかもしれないが、今のご時世はむしろそうやって作った音楽が様々に使われていく事こそステータスではないだろうか。

勿論、著作権の問題がある。今ネットに出回っている殆どは厳密にはアウトだろう。でも、それを制限する事でいったい誰が得をするのか。誰にもメリットが生まれない法が果たして必要なのか―なんて話になると長くなるので、今回の提案は、トラックバイトラックのディスクをもうレコード会社側が用意して商用利用以外の使用権限を料金をとって売ってしまえばいいのではないか、という話だ。レンタルディスクのように、しっかりとルールを決め、普通の購入価格の数倍の値段を取る―なんてモデルを考えたんだが、まだまだそんなに市場は大きくないか。

ヒカルのアルバムでその"トラックバイトラック"ディスクが出たら勿論買う。専用の再生機器が必要になるだろうことを考えると頭が痛いが、ひとつひとつのヴォーカルトラックをじっくり味わえるとしたら至福である。今後の展開次第では実現可能性はゼロではない、と信じたい。今まで気がつかなかった音に出会える新しいキッカケを作る事で、音楽市場がまた活性化したりしてくれたらこの上ないんだけど。