Single Colletion Vol.2の新曲(とは流石に言えなくなってきたけど)5曲はいつ聴いても本当に素晴らしい。
HEART STATIONアルバムが出た時、何か最高傑作と断言するのを渋った覚えがある。過去の作品群と比較した場合確かにGreatestなのだが、そこから見えてしまう"未来"は、更にその景色より高い所にあったのだ。だから、"既に見えている未来"の存在が、HEART STATIONを最高傑作と呼ばせなかった。
そしてその"未来"がこうしてやってきた。10ヶ月近く経って、確かにここはひとつの到達点だろうな、と思う。歌詞がありありと情景を描くという意味でフォークの真髄を伝える(音楽的にはフォークというかフォークロックというか微妙)"嵐の女神"、今迄一度も見せなかった超絶ド直球なハードロック"Show Me Love"、日本におけるダンス&ポップの終着点"Goodbye Happiness"、シャンソンとジャズ/フュージョンのクロスオーバー"愛のアンセム〜Hymne a Lamour"、ピアノバラード"Can't Wait 'Til Christmass"と、あらゆるジャンルを網羅するパースペクティヴの広さと完成度の高さ。これぞ最高傑作!と叫んでもいいところなのだがやっぱり5曲というのは少ない。アルバムとして楽しむ為にはやはりDisc1から順番に聴いていく必要があるという点において、フルアルバムとして最高傑作の太鼓判を押すのは違うと思う。
斯くして、今回も最高傑作とは言わない事にする。
しかし、光も実感しているように、この道を進んでもこれ以上高い所に行けなさそうなのは確かなようだ。果たして、どの山を登ればこれより高い所に行き着けるか。
私は、"Can't Wait 'Til Christmass"にその端緒をみる。当初よりFLやFDやFoLと肩を並べる名曲だと云ってきたが、言語や時代の趨勢を超えていちばん普遍的に受け入れられるのはこのCWTCだと思う。理由は単純、いちばんシンプルだからだ。
20世紀最高の音楽集団The Beatles。彼らの楽曲は多種多様で、人気投票をするたびにいろいろな曲が1位をとっているが、それでも最も愛されている曲を選ぶとしたら"Yesterday"になると思う。というのも、Wikipediaによるとこの曲は"史上最も多くカバーされた曲"だそうだからだ。
なぜこんなにカバーされるか。そう、理由はこれまた至って単純、曲がシンプルだからだ。しかし、だからこそ幾度も何処でも演奏され、だから歌い継がれてゆく。時を超えて愛されてゆくには、できるだけシンプルである方がいいのである。
その点、CWTCはピアノ一本あればいい。いや勿論ストリングスで盛り上げても魅力的だろうが、この曲のよさを伝えるには、歌をただ歌えば十分だ。前出の必殺バラード3曲は、なんだかんだいってバックの演奏がないとサマにならない。しかしCWTCはメロディー一本でもう素敵である。
この曲は、YesterdayやジョンレノンのImagineのように、総てを超えて歌い継がれる魅力の端緒をみせてくれている。今迄でこの点において最高だ。
…と僕は思っているのだが、UtadaサーチストリームでSC2の楽曲で一番ツイートされてるのはGoodbye Happinessなんだよね…。私の言うとおりだとすれば、あらゆる国からCWTCを絶賛する声が聞こえてきてもいい筈なんだけどな…的外れなのかも、しんないな。まぁ、time will tell、時間が経てばわかることか。