無意識日記々

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シンプルとシンプルの狭間で

しかし、だからといってヒカルの作品にギミックを施し続けるのも考えものだ。色々と複雑になるIT社会だからこそシンプルさが求められる、という事もある。テレビもチャンネルが増えすぎてザッピングが面倒になった。昔はチャンネルを一回しすればその時間帯を総て把握できた。今はお気に入りの検索ワードを登録して録画を任せて撮り溜めてそして観ない、てなサイクルだったりする。いやまぁ地上波のチャンネル数は変わらんけどね。兎に角色々と煩わしい。

Appleはそこらへんの"選択肢を増やし過ぎる事の弊害"をわかっていて、携帯電話はiPhone一本だし、PCもかなり絞られている。操作も、ホームボタン以外はスッキリ、みたいなスタイルで統一されている。選択のコストを下げる事で選択されているのが現状だ。

宇多田ヒカルのファン層を考えると、そういったシンプルさもまた必要だろう。新しいガジェットに新しい機能も結構だが、"新曲聴きたきゃこれ買っときゃ大丈夫"てな商品を売るのもまたアリなのではないかなと思う。そういや既にあるのだろうか、PVをDVD-Videoで再生させるだけでなく、そのままiPhoneにファイルとして取り込めるようにはならないのか。そうしたい人はリッピングすりゃ済むのだがこのご時世なので何かと不安である。"ひとてま"を簡略化するだけで随分と反応は違う気がする。あれ、なんか話が逸れてるな。

もっとシンプルでアナクロでいい、という話だった。CDも一種類しか発売せず、レコードショップに行った時に迷わない、買い間違えない事が、これからの時代に有利にはたらくかどうか。売上の推移をみれば、シングルCDに関してはそれで順調に減っていってるとみるべきだわいな。複数枚商法というのは、複数買わせるという実利とともに"新曲発売のお祭り騒ぎ"の演出である。ひとつの曲に対して3種類ジャケットが並んでいるだけで賑々しい。その雰囲気作りが重要なのだ。

ここらへんが難しい。話がとっちらかっているが、冒頭で触れたようにテレビは選択肢を増やす事で単純に不便になった。しかしこれは無料の世界の話だからといっていい。携帯電話に関してiPhoneが(日本では電波状況に不安があるものの)勝利を収めているのは生活のインフラだからこそ"これ買っときゃ間違いないだろ"という安心感を与える事が選択を促してる。シングルCDを買うという行為はこの間のどこかにあるイベントだ。無料ではないが、かといって携帯電話のように長期間&高額という訳でもない。シンプルさが必ずしも有利にははたらかない現状がそこにはある。今、他で主流になっている手法に関してはやはりそれなりの理があるものなのだな。

ヒカルが復帰時にCDシングルを出すかどうか。勿論復帰時期によって大きく変わるだろうが、もしかしたらそのシンプルで潔い(一枚ものの)売り方は少数の人たちにしかメリットがないのかもしれない。まぁそれでも迷わず買っちゃうだろう私にとっては直接は影響のない話ではありますけれども。難しいねぇ。