無意識日記々

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チャート回避術論考

『妊娠中、新しいアルバムを制作してました。』―普通なら『妊娠中』につっかかる所なのかもしれませんが私は「あぁ、アルバムなのね。」と思った。

幾度となく繰り返してきたように、配信が主体になってくると必ずしも「アルバム」という単位が必然的ではなくなってくる。大体、音楽だけで1時間を費やせさせる位の作品は滅多に無い。私なんか集中力(?)が続いてもせいぜい5曲がいいところ。それ以上長いと大抵寝る。一方で20分30分の曲を聴き切るのは屁でも無いので、要は1時間一定以上のクォリティーを保った作品を作るのが難儀だという話だ。だったらバラで聴いた方がよい。

Single Collection Vol.2について、「次のフルアルバムがVol.3だったら」という仮説を立ててみたりもした。つまり、今後シングル曲しかリリースしないというスタンス。

寧ろ現実は真逆であった。ヒカルはアルバムを制作中だという。アルバムを作っている。私に1時間を短いと感じさせる数少ないアーティストの1人(どころか忽ちリピートさせる世にも稀なな)なので、出来自体には何の不安も無い。桜流しだけが突出していたら、とは考えるけれどね。

ただ、昔の、2nd〜5thの「半分シングル曲半分アルバム曲」とは違う、1stアルバムや、EXODUSやThis Is The Oneのような、アルバム全体を先に作ってしまうプロセスをここで踏んできたのだな、という見方はしている。

となると気になるのは「先行シングル曲」の扱いだ。2015年2016年に宇多田ヒカルが"CD"シングル(盤)をリリースするのは余りにもリスキーだ。逆アナウンス効果が出てしまう。そう、売上が芳しくなくて「宇多田の神通力も失われたか」みたいなニュースがわんさとだな。

大体、7年前の時点で既にその現象は起こっていた。Prisoner Of LoveのEPの初週売上が4万枚程度だった事だ。幸い、アルバムミリオンセラーとドラマの好調でネガティブに報道されることはなかったが今だとどうか。浜崎あゆみのシングルカットが全然売れなかったと記事にされていたのは記憶に新しかろう。

しかし、実際のPrisoner Of Loveは配信でミリオンセラーになりYoutubeの公式チャンネルでも3大人気曲の一角を占める泣く子も黙る宇多田ヒカルの代表曲である。オリコンのCD売上だけを見て語る人は、そんなことつゆも知らない。そういう事が起こり得るのだ。ましてやそれから更に7年。時代は移り変わり切ってしまっている。

桜流しはCDシングルを発売せず、DVDシングルとして発売した。兆候は既にある。例えば、DVDシングルとして発売し、特典としてCDシングルを付属させるという方法もあろう。それDVD付きCDシングルと同じじゃないかと言われそうだが、そんな小手先の小細工を案に出したくなる程に、今のCDシングルチャートには名前を載せたくないという心理がはたらくのだ。少なくとも私はね。EMIがどう考えているかはわからないが、ネットのお陰で記事の拡散力影響力は昔と較べて格段に上がっている。くれぐれも侮らないようにお願いしたい所であります。