無意識日記々

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コピーライトの話の続き

Web上での著作権について、無断複写転載のインセンティブについて前回取り上げた。メルマガであればその目的が情報格差の創出である為無断無料公開する動機は薄く、これが音楽だとその共有バイアスが無断無料公開を促進する側面がある。そんな話であった。

アニメをはじめとしたテレビ番組については、ある程度の傾向でしかないが、やはり最初が無料公開か否かというのは結構大きいように思われる。そもそも地上波で無料公開され誰でも視聴できるものだったコンテンツに関しては心理的な障壁が低いのだろうか、ノリは、VHSに録画した番組を友達に貸し出していた頃と変わらない感じがする。これがOVA等になると、ややそういったコピーは減るように思われる。自分がお金を払って買ったから、というよりそもそも不特定多数に公開する類のコンテンツではない、という意識がはたらくのであろうか。テレビ番組でなくても、Web上のコンテンツに関しても同様である。最初に無料公開されていたコンテンツと課金コンテンツでは扱いが異なる。尤も、それはDRMの解除という技術的側面もあるかもしれないが、今や地上波テレビ番組でもDRMは掛かっている訳でそんなに大勢に影響はないかもしれない。

著作権に関しては、著作者がその扱いを自由にできる事が大前提だが、Webはその大前提を崩した。前回挙げた通り、複写と転送に関して技術とコストが不要になったからだ。この「うちんなかor世界中」の状況で"著作者が著作物を自由にする"といっても基本的には無理である。公開した以上"手に負えなくなる"という事実を受容したと受け止めるのが自然だろう。現実の体系はそうなってはいないけど。

その考え方に立って俄かに(でもないけど)目立ってきているのが"報酬請求権"の考え方である。著作物は自由に利用していいですよ、ただし著作者は"事後に"その利用料を請求する事ができますよ、という権利だ。使用をいちいち差し止めて文化的活動を阻害したりいちいち司法の手を借りずともあんたお金貰ってきていいから、というやり方だ。確かに、これは効率的である。

著作権に関しては、もう一方の懸念がある。今述べた報酬請求権の話は、著作物の利用に対する対価に関する解決法だった。稼ぎたい人の意見である。もう一つ、著作者にはより大きな心配があって、それは著作物の無断改変である。それは多くの場合著作者からみて質の劣化を伴い、著作者のブランド力を低下させるかもしれない危険性を孕んでいる。それ以前に、著作物は著作者の自由であるべしという大元の著作権の信念に反している訳だ。こちらは対価や報酬といったスカラーな話でなくなっている為議論は込み入ってくる。所謂二次創作物の是非の話だがたとえば宇多田ヒカルの"人力ボーカロイド"はどうなるのか、といった問題だ。あれは本人があっさりツイートして解決(?)しちゃった感があるけれども一般的にはどうなのか。次回はそこらへんから。