無意識日記々

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UTADA on UTUBE

『Time』MVのYouTube再生回数が50万回突破したかー。まぁ他のビッグコンテンツから比べりゃ地味なもんだけど、純粋な新曲じゃないしこれは極めて順調&好評とみるべきかな。

これをプロモーション媒体としてどう捉えているか。収益といっても広告収入など微々たるものだろう。チャンネル登録者数はなかなかのもんだけど。YouTubeはそもそも他のサブスクとは違い海賊動画サイトとして生まれたのだから色々強かだ。2005年からだからもう15年だが、規模の大きさを背景にして凄まじい発展を遂げてきた。

特に笑ったのが、いつからだつまけかな、著作権包括契約を取り扱うようになったこと。途中から「他人のアップロードした音源であっても著作権使用料の支払いを受け取れる」というシステムに変わった。誰かが勝手に音源を無断転載してもその再生回数に応じて広告収入(雑な言い方)が貰える。勿論著作権侵害を申し立てて削除することもできる。事務手続きのコストがどれくらいかはわからないが、どうせ無断転載を止められないならそれに乗じて儲けてしまえという逞しい精神。強かである。

規模の大きさで押し切った、という感じだよね。サブスクサービスはそもそも規模が大きくないと月額10ドルを維持出来ない為ローンチまで時間が掛かったが、YouTubeは違法脱法を利用して既成事実を積み上げてルールの方を「YouTubeありき」に変えさせてきた。そういう経緯の中でサブスクサービスにも名乗りを上げてきたという流れなのだ。

もともとのサービスが無料の中で有料もありますよと勧めてくるのがYouTube、広範な無料サービスでまず間口を広げて待っているのがSpotify、ダウンロード購入からサブスクへと変化するも徹底した有料サービスを貫くApple、と三者三様なのが現在の音楽サービスの様態だ。(いや勿論他のサブスクも幾つかあるのだけど、取り敢えず象徴的に手法の違いが際立っているので)

そういう中で、宇多田ヒカルは徹底してYouTubeを利用してきた。10年前に既存シングル曲のほぼ全てのプロモーション・ビデオをフル尺でアップロードしてきた時は唖然としたものだ。それがブランディングに有効だろうという判断だったのだろうが、それが見事に奏功し、熱心でないファンの間でのレピュテーションを高め続けてきた。

こういう手法は、誰にでも適用できる訳では無い。マスメディア中心のプロモーションを展開してきて、抜群の知名度がありながらファンクラブを持たないという異質な構造を前提としてこの大胆なYouTube利用は成り立っている。今回も『Time』に関しては早々にショート・ヴァージョンをアップロードして楽曲のプロモーションを担わせてきた。まぁもう最近はずっと、オフィシャルサイトでWindowsMediaファイルやRealPlayerファイルの試聴音源(懐かしいな!)をアップロードすることなくYouTubeへのリンクを貼り張り続けているのだから今更なことなんですけどね。

今回はダウンロードやストリーミングが始まった後でのMV公開ということでこれは初めてではないもののなかなかに新しい感触。しかもプレミア公開も実施した。今回のやり方はどちらかというと試験的な色合いが強い風合いが漂ってきているので、次に仕掛けてくる時はもっと大々的にプレミア公開の宣伝をしてくるとみたい。今回でリスナーの方もプレミア公開がどういうものか幾らかは知れたと思う。私も知った。もし次は参加したいというのであれば、早々にYouTubeのアカウントをとっておいた方がいいかもしれないね。Googleアカウントさえあればすぐだしね。ここらへんも、上手いことやってるなぁと思うよ。