無意識日記々

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SINERGY 「Beware The Heavens」(1999)

Beware the Heavens (24bt)

Beware the Heavens (24bt)

順番に行けば次はラウパサードステージのヘッドライナー、Children Of Bodomの作品に移るところだが、折角のIN FLAMESからの流れなので、両者の間にあったプロジェクトであるこのバンドの作品を。アレキシ・ライホとイェスパー・ストロムブラッドのツインリード、というかツイン・コンポーザという豪華なラインナップ。しかもベースはシャーリー・ダンジェロだ。今のARCH ENEMYにも匹敵するスーパーバンドである。フロントウーマンであるキンバリー・ゴスの強烈なキャラクターは当時の来日公演でたっぷり見させていただいた。もう13年前ですか。懐かしい。COBもIN FLAMESもデス声メインのバンドなので、こうやって普通に歌うキンバリー嬢をフィーチャしたサウンドはとても喜ばしかった。しかしよく考えてみたらイェスパーの作る普通声のメタルって1997年にHAMMERFALLが実践して大成功を収めている。彼らの1stが欧州で50万枚だかを売った所から正統派メタルが復権を果たし、一方アメリカではイェテボリサウンドに影響を受けたバンドたちがニューメタルからメタルコアへと世代を移行させていった…と考えると、00年代の欧米両方のメタルシーンの原型を形作った男ってイェスパーなんだよね。天才なんだからそれくらい当然なんだけど。って、この作品のレビューになってないな。ヴォーカルのキンバリーが中心人物のハズなのだが、やはりこの両巨匠がギターを握り曲を書いたということで、正統派とはいえヴォーカルはどちらかというと添え物的で、左右から嘶くツインリードのメロディがぐいぐい曲を引っ張っていく作風となっている。というか単純に歌が弱い。唯一、でもないか、歌メロも見事にこなれた4曲目の“Warrior Princess”は掛け値なしの名曲で、イェスパーとアレキシがこうやって女性ヴォーカルのメロディック・スピード・メタル曲を真正面から書いたのって、結局これが最初で最後だったなぁ、と思ったが、この曲男声が歌えばまんまHAMMERFALLだわな。いや、ここまでツインリードが冴え渡った曲は流石になかったか。ともかく、この1曲を聴けただけでもこのプロジェクトは成功といえる。(80)