無意識日記々

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「訳を教えて」

"Give Me A Reason"というタイトル、和訳を与えるなら一体どうなるかな。昔、"Can You Keep A Secret?"を何と訳すかが話題になった事があった(結果、ファンから届けられた「誰にも言わない?」が採用された)が、全部が英語詞の為対訳がつく洋楽のUtadaのケースとは異なり、日本語曲の一部に英語が使われている場合その正式な和訳は存在しない事が多い。その為、個々が"しっくりくる"日本語を当てはめて考えてみるのがいいだろう。

"Give Me A Reason"は、教科書的に逐訳すれば「私に理由を与えてください」になる訳だが、歌い手が16歳である事を考慮すると少し砕けさせて「訳(ワケ)を教えて」くらいにするのが適当なのではないか、とまずは想像する所だ。しかし、これはあクマでタイトルを見ただけで考えた"第一印象"に基づく訳し方。果たして、それが内容に合致しているかどうかは即断出来ない。そこで、"Give Me A Reason"の、楽曲に即した訳し方はどのようなものが考えられるか、そこをちょっとみてみよう。


当時のヒカルは16歳になったばかり。いや、リリース時に16歳になっている事を見越して、なのかもしれないが、この曲"Give Me A Reason"は『Only Sixteen』から始まる。この後に続くのが『今夜矛盾だらけの自由に追われながら走り出す』なので、これは本人も認めている通り、尾崎豊トリビュートの面があるのだろう。しかし私は尾崎に詳しくないので、そこからの影響についての話はここでは深入りしないでおく。

なので、純粋にここで読める歌詞を参照しながら考えてみたい。やはり、のっけから『矛盾だらけの自由』とか『自由に追われながら』とかいったフレーズに耳を引かれる。本来、自由とは自我に対してconsistentな状態を差すものだ。つまり、自分の心と相容れない行動を拒否できる、やりたいと思った事をやれる状態。不自由とは、自分の心と周囲の状況が一致しない、自分の心に従って行動を選択できない状態を意味する。普通はその不自由の方を"(自分の心と)矛盾した状況"だと判断する。いわば理不尽。英語でいえばunreasonableなシチュエーション、だ。

見ての通り、unreasonableはun-reason-ableで、真ん中にreasonを挟んでいる。英単語のreasonは、こういった時にも使うのだ。ヒカルの云う"自由"の裏には、この"reason"が隠されているとみるべきだろう。ここを機軸に、この曲の歌詞を読み解きながら、タイトルの和訳を考えていきたい。続きをいつどこで書くかは未定ではあるのですがね。