無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

「わけがわからないよ」

『訳(りゆう)もなく微笑む度に』と、Give Me A Reasonの一番のサビにある。漢字や熟語に無茶な振り仮名を振るのは日本の作詞家の特権だが、これは大概、「意味としては漢字の方なんだけど、歌詞をメロディーに載せるに当たって尺に合うような読み方をあてておきましたよ」ということだ。

『訳(りゆう)』も、この状況が当てはまる。そのまま『(わけ)』と読んでも尺が合わない。りゆうなら3文字稼げる。まずはそういった背景があるだろう。

次に「わけ」と「りゆう」のニュアンスの違いがある。慣用的な感覚だが、「わけ」の方はある程度「人の事情」を知る時に用いる。「リンゴが木から落ちる理由をきかせて」と「リンゴを木から落とした訳(わけ)を聞かせて」のように使い分ける。後者の「訳(わけ)」は「理由」に言い換えても大丈夫だが、前者の「理由」を「わけ」に変えると、間違いとはいえないものの、あまり聞かない響きになる。やはり、「わけ」を使う時には含意が多めになる感触だ。

ここで「訳」という漢字を使う理由(わけ?)については、後々触れる事になるだろう。その前に、ここで「りゆう(理由)」を使う訳(りゆう?)について先に触れておく。

これは、直後に『法則』と『運命』が、直前(歌の冒頭)に『自由』がある事とセットになっている。勿論『矛盾』もだ。音韻としても、むじゅん、じゆう、りゆう、と並んでいるとなるほど、となるだろう。

そして法則と運命は、あらゆるものがりゆうに縛られてじゆうを失った世界の象徴である。そのものと言ってもいいか。それらの葛藤を羅列によって印象づけているのがこの歌の一番のサビなのである。