無意識日記々

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徒労の続き

「ヒカルが新しい世代のダンス・ナンバーを作ってくるか?」という興味の一方、シンコレ2から桜流しの作風から伺い知れる事がある。「生楽器の多用」だ。

ヒカルは昔からラップトップと鍵盤楽器で作曲してきた。その為、サウンドシンセサイザー主体になりリズムは打ち込み系に近くなった。三つ子の魂百までで、この基本はずっと変わらないだろうが、ここで注目すべき点が浮かび上がってきた。「コンピューターによる生楽器サウンド再現率の向上」である。

IvoryIIの事を覚えている方はいらっしゃるだろうか。77GBにも及ぶグランドピアノのサンプル音源である。ストレージの大容量化によって、ラップトップ環境でも生楽器の音色を忠実に再現出来るようになってきた。即ち、わざわざホンモノの楽器を引っ張り出してこなくても、マウスひとつで生楽器を想定した作曲が容易になったという事だ。

近年のヒカルの生楽器率増加には、こういった原因がある、と思われる。となればこれは、生楽器志向になってきたというよりバリエーションが広がっただけ、という解釈も出来る為、特段ここから更に生楽器率が増えていく、という訳でもなさそうだ、となる。相変わらず打ち込み主体のダンスナンバーや奇天烈なインスト曲も書く一方、弦楽器や管楽器の比率も増えてくるのではないか。

「管楽器の導入」も、また、関心事のひとつとなるだろう。今のところヒカルの楽曲には「バリバリのホーン・セクション」をフィーチャした楽曲は見当たらない。せいぜい、WINGSでフルートが登場した位か。甘いワナはサウンドの基調はホーンセクションだが、まぁそれ位かな。今後"派手なラッパ"や笛などで彩られた楽曲が来るかどうか。

ホーンを増やしてくるとなればそれは"新機軸"だが、たとえばパーカッションに凝り始めたらそちらは"正当進化"だろう。元々ライブではドラムとパーカッションの"ダブル・リズム・セクション"体制でやってきたヒカルであるから、スタジオテイクで打楽器に凝りだしても何ら不思議ではない。トライバルなリズムとシンセサイザーの音色の融合、そこにソウルフルな歌声が乗るだなんてヒカルの得意技に昇華しそうな感じである。

しかしやっぱりサウンドを左右するのはアコースティック・ギターとエレクトリック・ギターの比率である。エレキギターを生楽器と呼ぶべきかというとそうでもない気がするが、ただの機械音とも違う独特の人間味は20世紀の市場音楽を席巻してきた。ヒカルの場合、ギターで作曲するにあたってエレクトリックかアコースティックかというのがどれ位影響するのか、まだちょっとわからないが、鍵盤楽器を使うのとは明らかに違う作風になるだろう事は予想が出来る。フォーク寄りの楽曲も聴いてみたいところだが、ピアノの弾き語りは出来てもギターの弾き語りは…Exodus'04でやってたか。大丈夫かな。

妄想は、尽きないねぇ…。