無意識日記々

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"復帰"するのはヒカルだけじゃなく。

そういやすっかり触れ忘れていたが、今やってる浜崎あゆみのツアーのCMは冒頭がMovin' on without youだ。その後に彼女の曲が続くのだが、切り込み隊長がこのカバー曲という所に送り手側の手応えみたいなものを感じさせる。宇多うたアルバムが発端とはいえ、多分これは「あのあゆが宇多田の曲を!?」というインパクトが通じる世代へのアピールなのだろう。それだけ、この2人の作った"時代"は大きい。

とはいえ、本当に"時代の寵児"だったといえるのはあゆの方だ。CDは売れなくなったとはいえ、未だにアリーナクラスなら複数日公演組めるのだから。今のヒカルにそれが出来るかというと結構わからんぞ。それに、ヒカルが"Hot"だったのは最初の5年と、FoL〜PoLの時期の合計6〜7年であって、あゆの方は10年以上"時代の顔"であり続けた。自身のアーティスト・シップを追究する事でPopular Musicを作り続けてきた宇多田ヒカルとは真逆に、自らの(といってもそれが本当に彼女自身の、或いは彼女だけのだったかはわからないが)意志で時代の顔であろうとする事で日本のPop Musicを牽引し続けてようとして実際にある程度それを成し遂げたのだから恐れ入る。アーティスト・ミュージシャンとしての能力はヒカルの足元にも及ばない彼女がここまでの実績を積み上げてきた事は素直に尊敬する。特に私自身は好きという事はないのだけれど。

2人の少し前から活躍し始めていて、今でもハード且つブロードなファン層を離さない安室奈美恵はもっと凄いといえるかもしれない。若い、いや幼い頃から「私には歌と踊りしかない」と言い切って突き進んできた彼女の"信念"は桁外れだ。踊りの事はわからないが、歌に関しては後続に出てきた彼女に憧れる世代たちの方がずっと上手だろう。それでも"他の追随を許さない"のは、見た目と全く異なる、頑固で泥臭い前進力、突進力にあった。いや勿論あの稀有なルックスとスタイルを20年以上維持し続けてきているのも途轍もなく大きいんだけどね。


いやはや、何故か無駄話をしてしまった。春だからかな。ヒカルはヒカル。他の"歌姫"たちがどうしていようと関係がない。今挙げた2人は"ファッション・リーダー"ですらあったが、ヒカルはずっとシンガー・ソングライター/音楽家でしかなかった。いやでも1999年当時に表紙を飾った雑誌の数々の多様さを思い出すと、短い期間ではあるけれど"アイコン"として扱われかけていた時期もあった訳でね。勿論彼女はそれを拒否した。21歳でUtadaとしてデビューする際も"日本のブリトニー・スピアーズ"として売り出される事に拒否反応を示した。その意味に於いて、彼女はきっちり己の生き方を貫いている。それは間違いない。今更言う必要もないけれど。

90年代後半から21世紀初頭の"あの時代"は本当に遠くなった。もう若いファンには霞んで見えないかもしれない。逆に、YouTubeのお陰でどの時代も変わらないのかもしれない。そこらへんは聞いてみないとわからないが、ひとまず、あの時代を知っている人たちに"戻ってきて"もらった方がいいような気がする。ここまでくると"復帰"するのはヒカルだけではない。あの頃に安室奈美恵浜崎あゆみ宇多田ヒカルを聴いて青春を過ごした人たちに、帰ってきて貰わねばなるまい。

彼ら、彼女らは、今どこでどうしてるんだろうね。多くは多分、@utadahikaruをフォローしてるんじゃないか、と思ったけどだとしたら総計180万アカウントとかは"少なすぎる"よね。それ以上に売ったCDが何枚もあるのだから。その人たちにまた興味を持って貰う事って、出来るのだろうか。

いつもの流れなら「では次回その具体的な方法論について考えてみようか」となるところだが、今回は全く何も思いつきそうな予感がしないので、多分これでこの話は終わり(笑)。いやぁ、春だねぇ。