無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

みんなの夢を叶えたんだもんねぇ

そうか、来年のドリカムデビュー30周年はワンダーランドと重なるのか。きっと賑々しい事この上ないな。

DREAMS COME TRUEの歴史はそのままJpopの歴史である。80年代に松任谷由実がミリオンセラーの女王として君臨していたが、その立場は"孤高"だった。後続に全く誰も居らず、3〜4年間ほど彼女の独り勝ちだったのだ。ドリカムは違う。彼らのアルバム売上が300万枚を初めて突破した時、皆が「時代の扉が開かれた」と感じた。そこからミリオンセラーが特別なものではなくなり、globeの400万枚、B'zやGLAYの500万枚へと繋がっていく。さて次は誰が600万枚を突破するのだろう?と思ったかどうかというタイミングで炸裂したのが宇多田ヒカルだったのだ。600万枚をあっさり超えまたたクマに700万枚に到達する。圧倒的規格外、トドメの一撃だった。

即ち、Jpopというのは90年代、ドリカムから爆発を繋いでいって宇多田ヒカルという超大爆発から緩やかに10年ほどかけて衰退していったジャンル、という事になる。そんな中でドリカムが来年30周年を迎えるのは凄いの一言に尽きる。ポスト・ドリカムのいきものがかりが活動休止してもなお元気一杯なのだから。頼もしい。

宇多田ヒカルにとってドリカムの歌は「苦手」の一言に尽きる。「うたばん」で披露された、「ともだちとカラオケに行ってドリカムを歌ったら“ヒカル、歌下手?”って言われた」エピソードは有名である。実際に聴かなくても、吉田美和のおおらかで伸びのある歌声に合わせて作られたメロディーがヒカルに合わなそうなのは想像がつく。月と太陽みたいなもんだ。

そのヒカルが珍しくドリカムタイプの歌を作ったのが『Can't Wait 'Til Christmas』だった―という話は散々何度も書いてきたのでここでは繰り返さないが、そこまでタイプの違うシンガーがそれぞれJpopの起爆と頂点だったというのは興味深い。吉田美和の太陽のような歌声と、ヒカルのいつも陰りを湛えた歌声。どちらも日本人の心に響く。もっとも、ヒカルのいちばんの名曲はメジャーキーバラードの『First Love』であって、ある意味ヒカルのレパートリーの中では異端なのかもしれないけれど、それを考え始めたらややこしいから今は置いておこう。

つまり来年は、宇多田ヒカルの20周年とドリカムの30周年が激突する。ヒカルが20周年ならばMISIA浜崎あゆみaikoもみんな20周年だ。まぁ今年の事だけれどヒカルのデビュー記念日が12月という事でその話題性は来年に持続していくだろう。まずは安室奈美恵の引退、更に小室哲哉の撤退とそしてJpopレジェンドたちのアニバーサリー。何だかまぁ本当に賑々しい。そう思っているのはアラフォー以上な気もするが、この、今年と来年が「CD時代のアーティストたちによる記念コンサートツアー」になる中で、ストリーミングをはじめとした「新しい音楽との接し方の提案」が盛んになっていく感じ、どうやら着々と「2020年代の始まり」への種蒔きが進み出している気がするのだ。改元と五輪を経てこの国はどうなるだろうか。