無意識日記々

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「何の話?」「棚話だったな。」

今、海外進出をしている日本のアーティストは幾らか居るが、いちばん驚異的なのはBaby Metalだろうか。相手にしているオーディエンスのスケールが違う。今やDir en grey以上ともいえる。

とはいえ、ユニットの性質上どうしても"期間限定"という匂いが漂う。或いは定期的にメンバーを入れ替えて"Baby Metal II"みたいな事をやってくるかもしれないが、本命はやはり「時代に咲いた徒花」路線で華々しい咲いて散るのが美学な気がする。いや、続いてくれたらそれはそれでいいけれども。

意外にここから十年はLOUDNESSが来るかもしれない。あの時代にビルボード64位をとった知名度は侮れない。当時としてはドイツのACCEPTと同程度の成功度だが、今や彼らも5万人7万人といったオーディエンスを従えてフェスティバルのヘッドライナー或いは準ヘッドライナーを務める地位に居る。高崎晃のやる気次第ではLOUDNESSがその地位まで行ったとしても何ら不思議ではない。

メタルやラウドロックなら言語の壁が低いので斯様な成功を収められるが、ソウルフルな歌声で観客を魅了するとなるとほんの少しの訛りやイントネーションの狂いも致命傷になりかねず、従ってこの路線で成功できる日本人歌手は依然としてHikaruくらいしか居ない。誰か知ってたら教えて。

しかし、こうやって30代半ばからの復活となると、扱いは“アダルト・コンテンポラリー”とか“AOR”とかに、なるのだろうか。そういう所にハマっちゃうくらいならロック・ミュージシャンとして売り出した方がいいようにも思う。ロックならジャンルをまたぐことはあっても元の場所を完全に離れきる事はない。例えばザ・ローリング・ストーンズはこの半世紀ずっとロックンロールだった。全く変わっていない。中にはQueenのようにディスコやAORとして扱われる楽曲を発表するケースもあるのだがそれでもQueenはレコード・ショップでずっと「Rock」の棚に置かれ続けている。

Hikaruのアルバムはどの棚に置かれる事になるのだろう。日本では一貫して、時にはUtaDAのアルバムでさえ、J-popの棚に置かれ続けた。海外でもブレイクし、当たり前のようにビルボード・チャートに顔を出すようになってきた時に、それでもJ-popの棚に置かれるだろうか。

「その頃には棚が無くなってるよ。CDショップがもう無いから。」

…そんな悲しい知らせの届かない海辺へ行きたい所だがそれが冗談に聞こえないくらいに今の日本にJ-popは無い。

寧ろ、Hikaruに続く人たちが次々出てくればよい。いやもう追い越しちゃってよ。CDショップの棚に新しく「Global Japanese」とか「Overseas Domestics」とかいう札を作らざるを得ない位に、世界中で活躍する日本人ミュージシャンが次々に出てくればよいのだ。さすればHikaruも漸くジャンル分け問題から解放される。すわりのよい棚に心ゆくまで面出ししておいてくれればいい。

そして、野望だが、世界各国のCDショップの棚に「JAPAN」というコーナーを作る所までいけば、もう一時代を築いてしまったと言っていいだろう。果たして我々の目の黒いうちにそれが達成できるかな。

といっても、繰り返しになるけれど、CDショップの寿命が尽きる方が先だろうなぁ。みんな、もう、がんばって、ください。おまえもがんばれよ〜。