無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

リセット

よく1日で音楽を聴き過ぎて感覚が麻痺してくる事があるのだが(あるある…なのか?)、そういう時にリセットと称して聴き直すアーティストというのがある。自分にとってはチャック・ベリーがそのうちの一人だ。

麻痺、というと大袈裟なのだが、文章を読み過ぎるとゲシュタルト崩壊というのが起こるが、それがリスニングにも起こると思って貰えれば。「ちょっと何言ってるかわからないんですけど」状態になる。

そんな時でも、チャックを聴いていると途端に楽しくなってくるから困る。リセット力は非常に高い。それ位音楽的な基本がしっかりしている…というか、基本そのもねだからな。ジョン・レノンが「ロックンロールに別名をつけるとすればチャック・ベリーだ」と発言したが、もうそれ位にこのチンピラ親父がギターを弾いて歌えば即ちロックンロールになる。なんかもう凄いを通り越して呆れる。そして笑うしかない。

もしジョン・レノンが生きていたら、どんな小さなクラブだろうが喜んでチャックのLIVEのオープニング・アクトを勤めるだろう。この間も冗談で言っていたのだが、全世界でスタジアムをあっさりソールドアウトにするような、ロックフェスを開催して百のバンドを呼ぶよりそのバンドひとつ呼んだ方が手っ取り早いような、ビッグ中のビッグなバンド、ポール・マッカートニーザ・ローリング・ストーンズがもし仮に今現役のミュージシャンの前座を務めてもいいと言えるとすれば、もう恐らくこのチャック・ベリーをおいて他に居ないのではないか。歴史的な偉大さでいえばそれくらいにグレイトなのがチャックである。エアロスミスが解散ツアーかと言ってるのなんて彼からしたら孫がダダこねてストリートでのたうちまわっているようなものだろう。

しかし、実際のこのおっさんは、いや俺も実物みた事ないから結局は知らないんだけど、とにかくただの小物、チンピラなのだ。ロックンロールのオリジネーターと呼ばれているが、多分当時は「なんか流行ってる音楽があるから試しにやってみた」程度だったに違いない、と私なんかは思う。それがやってみたらそれこそ天性の感覚がロックンロールにジャスト・フィットしてしまったというか。歴史的経緯なんて吹っ飛ばして、このおっさんの生きてるリズムがロックンロールそのものというか。こんなにも音楽性が一人の人間の「生きる」を体現する事があるのかと。歌も別にうまくはないしパワーもない。ギターなんか添え物だ。昔からちゃんとした演奏はサイド・ギタリスト任せなんだから。なのに、このおっさんが出てこなかったら20世紀後半の音楽市場はまるで違ったものになっていたのだから怖い。売上は大した事ない(全盛期に全米1位をとってない)くせに、その影響力たるや桁外れなのだ。いやはや、偉大なチンピラである。


…あれ?なんでこんな話になったんだっけか…嗚呼、3月1日で色々と状況がリセットされたから、じゃあチャック・ベリーでも聴きますかとなって聴いてみたら相変わらず楽しかったので。他意はない。本当にただそれだけですじゃ(笑)。