無意識日記々

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なぜ今声優アーティスト達がモテるのか

一昨年から昨年にかけて、「え、そこ思い切って行く?」と唸らされる声優アーティストデビューが続いている。その程度のキャリアと知名度でプロジェクトしかけて果たして大丈夫なのかと。しかし、個別の例をみてみると、どちらかといえば、アイマスラブライブの成功で声優アーティスト・ブームに乗っかっているのかと思いきや、関わっているスタッフたちが個々の声優さんに惚れ込んで頑張っているケースばかりが目に入る。へぇ、ならいい傾向じゃん。

で、なんでそんなに声優アーティストたちが音楽業界で人気なんだろうと考えてみた。

歌をプロデュース/作詞/作曲をする立場にたってみると、なるほど、まず彼ら/彼女らは例えばアイドルのジャンルに区分けされる人たちと比べると抜群に歌が上手い。ジャニーさんの「歌の練習をする隙があるならダンスの練習をしろ」主義がアイドル業界には根強いのかアイドルの皆さんの歌唱力はとても低い場合が大半だが、声優の場合ハズレにあたる確率がグンと減る。なぜなら殆ど全員が声優の専門学校や養成所で発音や発声の訓練を受けているのだから当然だわな。作曲家としては、歌の巧拙より歌心というのは勿論真実だけど上手いにこした事はないというのもまた本音だ。

また、そうやってしっかり訓練を受けてきている分、声を出す仕事に対するプロ意識がおしなべて高い。例えば、ボーカルのスキャットのみでアルバムを作ろう、となっても根気よく地道な作業に付き合ってくれるし、ボーカロイドの音録りみたいな苦行な仕事もしっかりこなしてくれる。プロデュース側が実験的なアプローチをとりたくなった時に実際的な困難を乗り越えるだけの技術的な基礎をもっている。これはかなり有り難い。

また、声優というからには役者であるのだから"演技力"もまた高い。様々な作詞家作曲家から楽曲提供を受けるシステム上、曲調がバラエティーに富むのは必定だが、それぞれの歌のキャラクターに合わせて芝居がかった歌唱を聴かせるのはお手のものだ。普段からキャラクターソングで別人になりきって歌っているのだから容易い話だろう。

そういった職人肌に伴って、アーティストとしてのアクの強さみたいなのが希薄なのもポイントが高い。これがインディーズからのシンガーソングライターさんだと確固たる自分の世界を持っていてこちらからの提案はなかなか聞き入れてもらえないが、声優さんの場合もともとアーティストとしてのエゴが無いので、こちらからの音楽的アイデアを具現化するのに非常に協力的だ。

なるほど、音楽業界の作り手側としてはアイドルやシンガーソングライター/バンドより、余程自分たちの"音楽的な夢"を叶えるのにうってつけの存在だな、声優は。

更に、ある程度の声優さんなら固定ファンがついているのでCDの売上やイベント・ライブの集客力にあらかじめメドがたつ。レコード会社としても予算をくみやすい。また、ルックスも時代の要請に従って非常にレベルが高いのでミュージック・ビデオもアイドル並みに作りやすい。様々な世界観を表現できる。


こうしてみてみると、音楽業界で声優アーティストの人気が高く、次々とデビューが決まるのも納得である。作り手側だって音楽ファンだ。こういう音楽をやってみたいという夢がある。それを叶える手助けをしてくれる人を探したら声優に多かった、という事なのかもしれない。もう暫くこのトレンドは続くかもしれないね。