発表時期はいいとして、「ヒカルが他人をプロデュースすること」や「ヒカルがなりくんをプロデュースすること」に対してどう思うかは別問題だ。
そもそも、ファンにとってなりくんが馴染みのある存在なのかという所から始めないといけない。『忘却』でやたら目立っていたKOHHとは違い、『ともだち』でのなりくんはバックコーラスで、ボーっと聴いていたら居たかどうかすらわからない。クレジットに『with 小袋成彬』と書いてあるから「あぁ、誰か参加してるのね」と思う程度で。
第一、「小袋成彬」を「おぶくろなりあき」って読むの、結構難しいよね。なので読む時のストレスを減らしたくてヒカルが使う呼び名のなりくんで通してるのだが、そういう名前だから仕方がないとはいえ、古くは例えばただの西川貴教のくせに「T.M.Revolution」という仰々しいプロジェクト名でデビューしたソロアーティストが居たりと名前を覚えてもらう工夫はあってもいい筈だがそういう事もせず。あ、「Obkr」って表記はいいと思うけど。これは私には読みやすい。
もっとも、彼がこれからビッグアーティストになればその読み方すら個性になる。SMAPの草なぎ剛の「なぎ」の字だって彼が有名になったお陰で皆の知るところとなった。今こっちフォントが出ないんだけどね。そこまで行ければ名前の表記なんてとるにたらないことよ。
一応、「丸の内サディスティクexpo ver.」のカラオケなどあるけれど、どれだけのファンがあの音源をきいたやら。「MUSIC HUB」という番組はローカルの深夜だし、ネットでそんな拡散してた訳でもないから限定的なもんだろう。大概のファンにとってなりくんは「あぁ誰だっけ、どっかで名前みたかも」という程度ではないだろうか。
その意味では時期尚早、だ。もうちっとなりくんがヒカルファンに慣れ親しんだ後でなら、反応も違っていたかもしれない。まだ馴染みが無さ過ぎる。降って湧いたように「新人プロデュースします」と言われても「何よ唐突に」となるわなぁ。
でまたまた吃驚させられたのがヒカルの昨日のツイッターである。リツイートをあそこまで連発するなんて過去にあったろうかね。RIAの中の人に乗っ取られたんでないのという勢いだった。自分の作品にだってあそこまで「売りたい!」という気持ちを前面に出した事はない。コメントに「使命感」とあったけれど、よっぽど入れ込んでいるのだろう。それに対するファンの反応も気にはなる。
あとは売り方のコンセプトだ。気に入ってもらえる1万人に向けてアピールしていくか、100万人に向けてアピールして90万人に嫌われながらも10万人に支持されるか。インターネット時代で「評判」が数字に直結する中、プロデューサーたる宇多田ヒカルがどういう戦略でいくか見ものなのでありますよ。