無意識日記々

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不細工な尾崎豊の歌い方

ヒカルの『Play A Love Song』がiTunes総合1位なのは当然として(と言い切れてしまう曲の上出来具合が心底恐ろしい)、なりくんの「分離派の夏」も1位を取ったのは喜ばしい。RIAの皆さんも確信や手応えはあっただろうが、デビューアルバムなだけに不安はどこまでも拭えなかっただろう。しかも、ヒカルのシングル曲はストリーミング無し、なりくんはストリーミングあり(というかこっちがメイン?)な中での結果なので快挙なのかもしれない。たとえ瞬間風速だとしても大したもんだよ。

私が「不細工な尾崎豊でしかない」と呼んだ小袋成彬が尾崎の命日にデビューして1位を取っているのをみて不思議な感覚になっている(ついでに―って心情的にはこちらがメインなのだけど―、私の母方の祖母の命日でもある)。尾崎と較べれば我々男子ほぼ全員が不細工な訳で「不細工な尾崎」という(私の考えた)キャッチフレーズは何も言っていないに等しいのだが、ヒカルに惚れられる程二枚目でありながら不器用な生き方をした(ようにみえる)尾崎と、二枚目かどうかは兎も角、幾らでも器用に生きていく事が可能な人間がわざわざ「何故生き長らえている?」と何度も問うてくるなりくんの姿は私の中で強烈な対比を描いている。いずれにせよ歌うのだな、と。

「分離派の夏」は昨夜聴きながら寝てしまったのでまた後日評価し直したいが、第一印象ではかなりいいアルバムになってるんじゃないのという感触をもった。それと同時に、なぜヒカルが「この人が世に出る助けをしなきゃいけない」的な事を言ったのか、漸く合点がいった気がする。アルバムを聴く前までは単純に才能に惚れたからだろうと思っていたが、そこにあったのは、それに加えて「年下の男の子の拙さ」だ。つまり、「この人が世に出る(為には私が)手助けをしなきゃいけない―これだけだとまだ世に出れない」から、まだ力が足りないからなのだ。

デビューアルバムだから当然なのだが、あらゆる場面において突き詰め切れていない。その分、もっと磨き上げれればかなりのクォリティーの作品を世に出せるポテンシャルを感じる。ヒカルが感じたのがそこだとすると、プロデュースを請け負ったのも納得がいく。2人のいう通り、「やんなきゃいけない」と感じるレベルだったのだろう。

今日はヒカルの露出とともになりくんも注目されただろう。いい事だ。聴いて貰う所までは多少強引でも構わない。聴いた後のリスナーの心の動きまではどうしようもないのだから。ここからが勝負だろう。

しかし、きっと本当に今まで本格的に歌ってなかったんだろうね。素の実力でしか歌う方法を知らないからこそ、Spotify Liveの時もあれだけ歌えたのだろう。ここから鍛える吉凶は判断つかないが、偉大といえるレベルの楽曲に巡り合う事が出来ればちょっと伝説的なパフォーマンスを期待してしまう。ヒカルに"それが見えている"のなら楽しみだ。