無意識日記々

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#裸婦抱く 1曲目の話

『あなた』で始まって戸惑ったのはその選曲自体ではなく「え、ラッパ1人も連れて来てないの!?」という点だった。完全に予想が外れてしまった。

『Fantome』と『初恋』のサウンドで過去と最も異なるのはホーン・セクションの導入だった。その中でも象徴的な楽曲である『あなた』でホーンを全く使わないとくれば今夜は一切ラッパを吹く人は登場しないと見ていい。『WILD LIFE』のような“曲毎のメンバーチェンジ”も期待できない。ライブ1曲目にしていきなり予想の軌道修正を迫られた。

しかしそれで戸惑ったままだったかというとそうでもない。逆に大きくフィーチャーされた弦楽器隊の優雅な調べがスタジオ・バージョンにはないおおらかで美しい雰囲気を演出してゆく。特に、ヒカルがアダルトな黒のロングドレスを着て登場した事で視覚面でもその落ち着いた面持ちに統一感が出ていた。デビューライブで『甘いワナ』の賑々しいサウンドをバックにケタケタ笑いながら登場した姿からはまさに隔世の感である。いや私その現場に居合わせてないんだけとね。でも一聴、「大人になったねぇ」という感想は漏らさざるを得なかった。

既にこの1曲目でヒカルの“後ろ姿”に気付いた人達が居たのかな? 会場のそこかしこから「うわエロい」みたいな空気が漂ってきていた気がしたが、確かにこのアダルトさは凄い。クリックトラックを使っているだろうから気のせいなんだろうけどテンポもスタジオ・バージョンよりややゆっくりめに聞こえ、ヒカルの歌唱もそれに伴ってやや落ち着いた丁寧な印象を受けた。

こういった様々な印象を持たせられるから『あなた』を1曲目に配するのは「宇多田ヒカルの“今”」を伝えるのに格好なんだよな、と合点しながら私はこの曲でののっけから安定したヒカルの歌声を楽しんだ。ややベースサウンドが出っ張り過ぎだろうとは思ったが1曲目にはよくあることだ。この調子なら今夜の出来栄えは申し分ないだろうなという確信がこの時点で出来上がっていく。実際はそんな余裕な見方など吹き飛ばすほどの圧巻のパフォーマンスがこのあと繰り広げられていくのだがこの時の私は至って呑気なものだったのだ…


…って、このまま順番に書いていくとは限らないからね(笑)。続きをそのまま期待しないでね。ではまた次回。