無意識日記々

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#裸婦抱く で私が一番ノリノリだった曲

『誓い』『真夏の通り雨』『花束を君に』と来てここまで蓄積された多幸感は既に相当なものだった。しかも『花束を君に』のエンディングのストリングスが大幅にストレッチされていた為まるでコンサートのオーラスみたいな雰囲気すら感じられていた。更にヒカルがセンターサブステージで丁寧にお辞儀をして舞台を降りると共に暖かい拍手が巻き起こったもんだからますます満足感が増していく。いやぁ、いいもんみたなぁ、と思いかけるかどうかくらいのところでヒカルが元のメインステージに戻ってきて漸くほんの僅か我に返る。しかし、「そうだよな、まだまだやってない曲たくさんあるもんな、例えば…」と思う間もなく拍手の合間を縫って『花束を君に』の長調の調べを断ち切るように今度は短調の旋律が弦楽隊によってすかさず奏でられ始めた。遂に『Forevermore』の登場だ。

この曲は必ずやライブ映えするから!と力説して早半年。遂に眼前に生演奏が繰り広げられて私の感慨も一入。ヒカルの歌唱は中音域主体な為ぶ厚いバックの演奏に対して埋もれてしまわないかと危惧していたのだが、なんのなんの。押し出すように力強い存在感を示している。昔のヒカルではこうはいかなかっただろう。地声のふくよかさと倍音の増強がこの曲を生で歌うことを可能にしたといえる。みるからにライブ・パフォーマーとして成長している。

その歌声の力強さに自信と安心を増したのか、弦楽隊が『花束を君に』に引き続き非常にエモーショナルかつ荘厳な演奏を繰り出す。『Prisoner Of Love』でも随分と目立っていたが『Forevermore』ではそれ以上だ。音場の奥行きが半端ではない。坩堝から音の塊が逆流するマグマのように次から次へと溢れ出てくる。なんという大迫力だろう。

だがしかし。やはりこの曲の生演奏での真の要となったのはベース・プレイだった。今まで黒子に徹するように淡々と職務をこなしてきていたベーシストの彼が見るからに超ノリノリである。そりゃそうだ、ヒカルの曲はベースラインがつまらないからな。そりゃプロだから手は抜かないだろうがそこはやっぱり一人の人間だから、ベースが全体の構成を引っ張ってゆく(この夜)唯一の楽曲でテンションが上がらなくていつ上がる。それはもう本当に楽しそうで、お陰で演奏全体の印象も、弦楽の重厚さに引き摺られない“熱い軽快”を伴って非常に突出した熱量を作り上げていたように思う。残念ながら曲自体はそこまで人気が高い訳でもないので最初は然程半皆も熱くはなかったが曲が進むにつれて大分のめり込んでくる人も増えていったように思う。この曲は今後も何度も何度もライブで回数を積み重ねるべきだ。それに従いどんどん大きく爆発していくポテンシャルがある。問題なのは、今までのペースだとその為に何十年もかかってしまうかもしれない事なんだけどね…。是非次のツアーは短いインターバルで開催して欲しいものだ。その際にはまた必ずや『Forevermore』を宜しくお願い致します!