第8回インスタライブで結構目立った質問として「どんな詩でしたか?」というのがあった。これだけでも通じる人が多かろう。そう、『気分じゃないの(Not In The Mood)』に出てくる『ポエム』若しくは『買った詩』の内容が、皆気になっていたのですよ。
『「私のポエム 買ってくれませんか
今夜シェルターに泊まるためのお金が
必要なんです。」
ロエベの財布から出したお札で
買った詩を読んだ』
ここね。なおヒカルはインスタライブでこの質問を取り上げなかった。ちと残念。
この箇所のいちばんドラマティックな解釈は、その買った詩の内容がこの歌に採用されたパターン。この曲が今回のアルバムの最後に制作されたトラックなので採用されたとすればこの歌にでしかない。
となると、この次のパート、
『Oh,
Rain, rain, go away
Fall on me another day』
の部分が有力候補となる。イギリスでの話だからポエムは英語だろうし、候補は限られるのだった。
ヒカルはここのパートのメロディは最初から用意してる風だったが、歌詞が全部出来ていたとは限らない。普段からシェルターに泊まって雨風を凌いでいる彼女が(ポエムを売ってきた人は女性だったとヒカルは言っている)、ポエムをしたためるときに雨雨どっか行けと書くのは自然なことだ。もしそうだとしたら、うん、ドラマティックこの上ないね。ワクワクするぜ。
…という胸の高鳴る解釈とまるで正反対の擦れっ枯らしな解釈の方も書いておこう。夢を壊されたくない人はここでブラウザを閉じてね☆
そもそも、彼女は本当にお金がなかったのか?と疑うところから。ヒカルの隣に居る老女の風貌からしても、このバーは結構なお金持ちが集まる場所だったのではなかろうか。それにたかりに来ただけの、その日の寝床はちゃんとある女性だったとしたら? 物乞いというのは自治体によっては条例に引っ掛かったりする所もあって昨今は犯罪扱いされがちなのだが(公共的な仕組みを使ってくれということだろう)、何かを売るという体裁にしておけばそこはクリアできる。なので彼女は書いてある中身は何でもいいからクリアファイルにルーズリーフの切れ端を詰め込んで、優しそうなご婦人に声をかけてお金をせしめたというのが真相なのかもしれない。この場合、ポエムが力作である筈がなく、特に読む価値もないものだろう。“物乞いの言い訳”としての役割しかないのだから。もしそうなら、ヒカルがインスタライブでこの話題を取り上げなかったのも肯けるというものだ。単につまらないものだったからだわな。
…というのが“スレた”解釈。ポエムには何の意味もなく、女性は特に泊まる場所にも困っていなかった、っていうね。
ヒカルの事だから、もしそうだと見て取れたとしてもお金を恵んであげる気がしないでもない。万が一本当にシェルターに泊まるお金がないのなら、って考えるだろうしね。なお公共のシェルターは無料の場合も有料の場合もあるそうな。どっちにせよ見過ごせませんねヒカルさんなら。
…と、2つの極端な解釈を書いてみたけれど、ひとつ引っ掛かるのは
『買った詩を読んだ』
とヒカルが歌っていることだ。これをどう捉えたらいい? もしこれが“物乞いの言い訳”であるなら、「買った詩をしまった」とかになりそうなもんだ。別に読む必要なんてない、からってね。だがこうやってしっかり『読んだ』と歌っているんなら、2つ目のスレた解釈は説得力が無くなるかもしれない。読む価値のあるものだったのだろうから。
かといって、歌詞として採用したというのもどうなのか。極論すればその女性からクレジットを寄越せと言われる未来も想像できたろうからね。そう簡単には使えないだろう。まぁまさかそれがUtada Hikaruというビッグアーティストだとは知らなかったろうしその後も知る由がない気もするけどね。
はてさて、真相はどこらへんにあるか、ヒカル自身もよくわかってないかもしれないし、うちらリスナーとしては深く考えない方がいいのかもしれない。おのおのが、「こんなだったらいいな」と思うケースを自由に想像して楽しんでおくくらいが、いいのかも、しれません。