無意識日記々

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『Stay Gold』と『Gold ~また逢う日まで~』

前回見たように、タイトルが関連付けられる曲同士は音楽的にも関連付けられ得るのが宇多田ヒカルだ。ならば『Gold ~また逢う日まで~』と関連付けられる楽曲として真っ先に2007年10月発表(発売は翌年)の『Stay Gold』を挙げることが出来るだろう。

言葉としての『Gold』については前に幾らか語った。無垢にも成熟にも当て嵌まる単語だと。なので今回はサウンド面での『Stay Gold』との関連を探ろう。

まず『Gold ~また逢う日まで~』で耳を惹くのはピアノによるアルペジオである。和音を構成する音をひとつひとつ分散させて一定の順序で並べて鳴らしていく手法だが、『Stay Gold』もまた同じくピアノのアルペジオをコード進行に沿って弾き分けている点が『Gold ~』と共通している。(という風にタイトルを省略して書いた場合、「ここから先は“~”にして略しました」なのか「タイトルをただ『Gold ~/また逢う日まで~』の部分でぶった切りました」なのかどっちか区別がつかないね。…って至極どうでもええわっ!)

ただ、『Stay Gold』の方は当時10代のリスナーにウケただけあってメロディが非常に素直で、従ってコード進行も型通りに進むのでその遷移もわかりやすかったのだが、『Gold ~』ではメロディの運びが複雑な為その遷移もまた複雑になっていそうな予感がする。そこらへんは『Stay Gold』との明確な差異となるだろう。

もうひとつ、『Stay Gold』では「ベースレス」というのもひとつサウンドの大きな特徴だった。…のだけど、そもそも宇多田ヒカルの楽曲に於いてはベースサウンドというのは編曲上全く重要ではなく、正直ベースが無くても『Stay Gold」は「いつも(の他の楽曲)と一緒」の印象で何の違和感もなかった。“大きな特徴”と言いながら、その割に大きな差異を生まないのよね。ここらへん、同じ路線のアレンジを施した『君に夢中』がベースラインを欲張りすぎて低音が大変分厚くなっていた事との対比で考えるとわかりやすい。他の楽器の組み合わせでアレンジが充足する宇多田ヒカルの楽曲において、そもそもベースサウンドというのは本質的に鳴らすだけでトゥーマッチなのだ。

となると、『Gold ~』でも『Stay Gold』同様楽曲全編にわたってピアノのアルペジオが鳴らされ続けているのなら、同じようにベースレス・サウンドである可能性が出てくる。一方で、アルバム『BADモード』からの方向性を次作で「推し進める」方に向けるのならば、『君に夢中』のようにアルペジオを他の楽器で補強して分厚く仕上げてきているだろう。この場合『Gold ~』はピアノ・バラードに留まらない非常に変則的な曲構成になっている可能性がある。

ただ、この曲は映画のエンディング・テーマなのだ。となると尺指定もある筈なのでそこまで長大な楽曲ではないだろう。とはいえもしかしたら、知らずに聴いた人が「宇多田ヒカルのエンディング、なんか2曲繋がってなかった?」とか思う人が現れるような、スタッフロールの途中から全然違う雰囲気になる曲構成、みたいなことはあるかもしれない。そんな予想は『Stay Gold』との類推からも導き出され得る。…って、なんか今のヒカルには「裏の裏」をかかれそうで怖いのだけど(笑)、公開4週間前の現時点での私はこのような予想をしていると言っておきますかねっ。