無意識日記々

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子育てと音楽家生活の両立について

先週の埼玉県条例騒動は傍観者としてぽかーんとして見守るしかなかったんだけど、それはそれとして「こどもを育てながらの働き方改革」というのは我々にとってかなり重要な問題である。何故かって、ヒカルさんがどれくらいの規模のツアーをいつやれるのかに直結してくるからだ。

上記の騒動なんかをみるにけ、つくづくロンドンを選んで良かったわねぇと思わざるを得ない。というか、日本を選ばなくて良かったねと言う方が正確か。ヒカルさんはいざとなったらユーロスターの座席に座っていても仕事をこなせる所謂ノマドタイプのワーカーな為、シングルマザーといえどもかなり自由度の高い職に就いてはいるが、それだけでなく、ロンドン市内のスタジオに直接出勤して顔を出したり、ニューヨークや東京のスタジオに出張して顔を出したりと結構出掛けないといけないフェイズもある人なので、リモートワークがかなり浸透した昨今だと実はそこまで他の人たちと違うわけでもない。

そして更に、この夏のようなプロモーション・ツアーや、5年前の冬のような長期のコンサート・ツアーとなると、これは旅芸人型とでもいえばいいのだろうか、決まった時間決まった土地に次々と移動していく労働形態になる。激変ですよねぇ。よく世のミュージシャンたちはこのスタジオとツアーっていう2つの極端に違うライフスタイルを両方営めているなと感心する。両方あるからバランスが取れていいんだと言う人もいるけどねぇ。

その5年前はダヌくんは3歳か。まだ就学前で、どうやらツアーに帯同していたようでして。お祖父ちゃん(照實さん)も居たし、誰彼となく目を掛けて貰ってのか、スタッフとして誰かを雇っていたのかは定かではないけれど、いずれにせよ学校に通っていない段階だったというのが大きかった。

今の彼は、イギリスの制度下でも日本でいう小学生にあたるので、そうそうは学校を休めない。いきおいツアーをやるとなると夏休み期間中となり、今年の場合はそれがテレビなどを含めた日本国内のプロモーション・ツアーと相成り我々は次から次へと迫りくる情報の数々に心地良く翻弄される結果となった。大変嬉しく楽しい2023年の夏だった。

となると次は全国ツアーがどうなるかに関心が向く訳だが、どうにも忘れられがちだけどUTADA HIKARUは全世界にファンが居て、その人たちをしこたま待たせている最中なのだった。流石にそろそろ何とかしないとと思っていた矢先にというか何というか、資生堂キャンペーンに続いてELLE CHINAへの登場で中国まで視野に入れた活動になってきた。ビリビリやウェイボーやTikTokのアカウントも取得済みで、いやそりゃどっかでコンサートやる気でしょと勘繰られても仕方がない。回りたいとこが更に山積みになっちゃったんだよ。

ただ、だからといってまだまだ幼い息子をロンドンに何ヶ月も待たせて長期出張となると、それはまずヒカルさん自身が気が気でないような気がする。なので一案としては、来年以降の夏休みの間に日本を含めた全世界各地の音楽フェスティバルに単発出演して皆の顔を見るのがいいのかなと。フェスともなればある程度遠方の人も時間を取ってやってくるケースが多いだろう。中にはいい場所で観たいが為に仕事を辞めて(休んで、ではないのだ!)1週間以上前から陣取る人とかも居たりするので(当日の朝から並ぶとかはまだまだ青いと言わざるを得ないな)、フェスってのはそれくらい特別なものなのだ。

いや勿論、皆さんの不満もわかる。自分の居る土地の近くまで来てくれないとなかなかライブに行くことが出来ない仕事や育児や介護に取り組んでいる人は多かろう。ただ、それはもうどこの国でも変わらないのだ。結局最優先すべきはヒカルパイセンの心身の体調の良好であり、望ましい子育ての在り方の実践なのだった。

他のアーティストは兎も角、我々の場合「もしダヌくんが生まれてこなかったのなら宇多田ヒカルはプロフェッショナルな音楽活動に復帰する見込みは相当薄かっただろう」という事実がある為、極めて冷静に論理的に、子育てを疎かにした音楽活動を求める事はそもそもの理屈と道理に反しているのだ。なのでこれは間違いなく第一優先事項なのである。この問題がクリアされなければ僕らの地元に宇多田ヒカルが歌いに来る未来は見えない。それぞれの人々の事情をよくよく斟酌した法体系や制度実施を通して、世紀の音楽家の生歌唱が出来るだけ滞りなく僕らの心に届く日々が来るのを、謙虚に心待ちにしたいなと思う私なのでありましたとさ。