無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

『時代と関係のないところで生きてきた』…わりに?

あぁそうか、今年のノーベル経済学賞はクラウディア・ゴールディンが獲ったのね。男女の賃金格差の研究で有名な方。私はこの分野は全くわからないが昔からフォローしてる人が言及してくれてたのでお名前は見たことがあったよ。

なのではからずも前回の話はややタイムリーになってたのか。女性として母親としてシングルマザーとして、どうキャリアを築いていくのか。ヒカルさんの場合は音楽家としての異能と評価が突出し過ぎていて統計的な意味は見出せない事になっちゃうのだけど、自分より収入の低い旦那と結婚していた点はこのタイミングで強調しておいてもいいのかもしれない。うむ、宇多田ヒカルより高収入でその上ヒカルが結婚したいと思える人の存在なんて天文学的な確率になってしまうから最初から眼中になかったといえばその通りなのかもしれないが、過去にはこんな呟きもしていたんだぞ。

@utadahikaru : 私が人生のパートナーに求めるものランキングの最下位:経済力

posted at 2016/8/29 20:44:07

@utadahikaru : 経済力のある男性が優しくてかわいくて自分を一番に思ってくれる女性(経済力低め)を選んだってなんの不思議にも思われないのに、性別が逆になると問題があるかのように思うのは非常に非理論的だ。男の子って大変ね。

posted at 2016/8/29 20:52:40

https://twilog.togetter.com/utadahikaru/date-160829/asc

ご覧の通り、ゴールディン氏の研究の要点をツイートひとつ(後者の方ね)で纏めてくれている。上方婚下方婚非対称問題。こういう本質を突く議論をしっかりと押さえてくれているので、ヒカルさんの発言をひとつひとつチェックしておけば案外時代に取り残されないのよね。別に時代を追おうとしなくとも、ヒカルパイセンのケツを追っ掛けてれば自然に追い付けていくので非常に好都合なのだ。

ヒカルさんは(戸籍上の性別と身体特徴的な性別が)女性でありながら所謂下方婚を厭わない珍しいケース。勿論、それは圧倒的な才能と財力と知名度に基づいてるに過ぎないと指摘することも出来るけど、これ多分ヒカルさんの性格からして、漫画家とか科学者とか他の職に就いていて(今やってる音楽家ほど圧倒的な収入を得ていなくて)も、おんなじこと言ってた気がするのよね。世間の雰囲気や体裁より、自分の頭で考えて感じた事を、人生の重要な場面々々では優先させそうで。

だからといって、ヒカルさんがその「世間の雰囲気」や「現代の世間体がどのようなものか」について全く知らないとかいうことはない。寧ろ誰よりもその感覚を強く知っているように思える。それが何かを知っていることと、それに批判的考察を加えることなく盲従する事は全く別の話なのだとよくよくわかっているから。それは多分、音楽家をやってるかどうかとは関係なく宇多田ヒカルという人なら「ハズさない」ことなのだと思うのだ。まぁそんなタラレバ言っても仕方ないんだけどね。実際に漫画家になるのは諦めたんだし、大学に残って研究生活を目指すこともしなかったので。

ヒカルさん自身も今や『自分らしくしているのが仕事』とまで(MUSICAのインタビューで)言っているので、そのような発言を発信する事自体も仕事の一環なのかもしれないが、だからこそそういうのって「単なる本音」でしかないんだよね。過去より一層世界情勢を気に掛けてるとも言っていたし、うちらはヒカルパイセンの発言を丁寧になぞることで「今の世界」を知ることが出来るのよ。興味と関心の連鎖は、自然に任せるのがいちばんなのだ。幸せだけじゃなく、時代もまた追おうとしなくとも私たちのすぐ側にあるものなのかもしれません。