無意識日記々

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Holy 嫉妬!

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」が延期になったお陰で『One Last Kiss』がお預けになったまま。聴きたくなったら「本予告・改」を聴くことになる。しかし、ずっとこればっか聴いてるといつかようやっとフルコーラスで聴けた時に違和感がモリモリになってるんでないの。どうしたってこの続きを脳内で勝手に補完してしまい(ラスキス補完計画!?)、それは恐らく本物とは全く違うあらぬ方向へと妄想を推し進めてしまっているのではないかと。「思ってたんと違う!」と叫ぶことになりはしないかと気が気でならない。もっとも、予想を裏切り期待に応えるのが宇多田ヒカルという超一流音楽家の手練手管。なんだかんだで遠慮無く聴いている。この90秒で既に楽しいしね。

さて『22 by Hikaru Utada』、次は19曲目だ。『嫉妬されるべき人生』である。この歌もラスキスと同じく映画のエンディング・テーマ曲だった。映画本編は一風変わったタイムリープもので、輪廻転生を得意とするヒカルの芸風がバッチリ嵌っていたな。エヴァの世界もループ世界なのではないかと昔から言われているので、そこらへんもバッチリシンクロしてるだろうなぁ…っていかんいかん、ついつい新曲の方を気にしてしまうな。

ヒカルが名曲だらけの『初恋』アルバムの中でこの『嫉妬されるべき人生』を選んできたのは、非常に単純に『母の遺影』という歌詞が含まれているからではないかと推測している。目の前の在りし日の母の写真を『遺影』と呼べるのは、つまり、母が死んだと漸く納得した、腑に落ちた、現実だと受け入れられたという事だったのではなかろうか。アルバム『Fantome』では母の死に対して感じたあらゆる感情に基づいて歌が作られていたし、アルバム『初恋』に於いても『大空で抱きしめて』などは、言い方は悪いが、まだまだ未練が残っているようなそんな感触があった。しかし、この『母の遺影』という言葉が出てきた『嫉妬されるべき人生』においては、なんだか母の死が過去の思い出であるかのような感触がある。勿論母の不在を日々痛感して毎日を生きてはいるだろうけれども、やっとそれが軌道に乗ったというか。そうやって振り返ると、周りになんと言われようと母の人生は『嫉妬されるべき』素晴らしい人生だったし、自分自身の人生もこれから『嫉妬されるべき人生』にするんだという静かで強い思いも感じる。そういう、ちゃんと気持ちに踏ん切りをつけられた区切りの歌としてこの『嫉妬されるべき人生』はヒカルにとって思い出深い一曲になっているのではないだろうか。それはまた、『あなた』と併せて、自分が父や母と共に育ってきたように、今度は自分が周りの人達と共に息子をすくすくと健やかに育てていく人生を今歩んでいるのだということなのだろう。なかなかにじぃんとくる『初恋』からの二曲のチョイスであった。

余談になるけど、ダヌくんの初恋って間違いなくお母さんだよねこれね。こんな魅力的な母に毎日世話を焼かれたら好きにならない筈がない。ただ、ダヌくんちょっと老成しすぎてて定番である「ボク大きくなったらお母さんと結婚するんだ!」を元気よく宣言するキャラじゃなさそうなのがね。それはそれで楽しいけどね。いやはや、誰がなんと言おうと、ダヌくんの人生こそが宇多田ヒカルファン全員から『嫉妬されるべき人生』だと思うよそれは。