無意識日記々

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オフィシャル・ライター松浦靖恵さんについてあれこれ

もしかしたら2016年以降に宇多田ファンになった方々は、前回ツイートを引用させて貰った松浦さんについてご存知ないかもしれないな。

それでは、こちらのツイート(当時)をご覧下さい。

@松浦靖恵@yokomatsumatsu:『東京ウォーカー』刊行休止とのこと。デビュー当時の宇多田ヒカルに初めてインタビューしたのはこの雑誌でした。それがひとつのきっかけになって、その後10年ちょっとの間オフィシャルインタビューを担当することに。彼女以外にもいろんな人たちに取材したな。時代の流れとはいえ残念です…

posted at 2020/05/11 14:48:56

https://twitter.com/yokomatsumatsu/status/1259664604155633664

ここで言及されている「オフィシャルインタビューを担当」なさったのが件のフリーライター松浦靖恵さんだ。

この、「オフィシャル・インタビュー」という制度、或いは彼女の担う「オフィシャル・ライター」という役職は、ヒカルが10代でまだインターナショナル・スクールや高校に通っていた頃に、恐らく加熱する報道や取材依頼を回避する為に設けられたものだ。(…と自分の推測で言うんだけど、そういや、正式に“理由”って直接語られてない、かな? どうだっけかな)

そこで何をどうしていたかというと、新曲なり何なりが新しくリリースされてヒカルが幾つもの雑誌にインタビューが掲載される際、松浦さんがそれらを一手に引き受けていたのだ。より正確にいえば、松浦さんが、ヒカルと行った1回のインタビューを、掲載される雑誌それぞれの誌風に合わせて書き分けてくれていたのだ。

10代当時の宇多田ヒカルは音楽雑誌はもちろんのこと、上記にあるように「東京ウォーカー」のようなタウン誌や「TVガイド」のような放送雑誌、「mc sister」のような女性誌に至るまで様々なジャンルのメディアに登場していた。それら総てを個別に受けていたら学業に支障をきたしていただろう。更にテレビやラジオの出演もあったし。なので松浦さんと1回だけお喋りして、松浦さんが幾つもの(時には十数とか数十とか?)雑誌に原稿を送ってくれていたという訳。当然というか、音楽誌には音楽の話題を、ファッション誌にはファッションの話題を、なるべく夫々提供せねばならないので、ヒカルからそういった多種多様な話題を引き出して、更に話を弾ませ、各媒体にそれぞれ特化させた文章に仕上げていたのだから、今振り返っても大変恐ろしいことをなさっていたのだな。いやはや、凄いね。

もちろんこれは、ヒカル本人や周りのスタッフの皆さんからの信頼を勝ち得ていないと任されない仕事だった訳で、如何にその点で彼女が優れていたかがよくわかるというものだが、お陰でヒカルは最初の12年間、ある意味で松浦さんに「守られる」ことで、メディアによる災厄から逃れられていた面も多々あったように思われる。

そして2016年に復帰してからはオフィシャル・インタビューという制度はなくなったようだが、これはつまりヒカルが自分でメディア対応をしようと決心したというか、2013年辺りに散々なことをされてカメラやフラッシュがトラウマになった所から、それらを克服していく過程で覚悟を決めていったのじゃないかなと勝手に妄想している。そこらへんの事情はヒカルからは語られていない。(はず、だ)

そんな風に考えると、ある意味に於いて人間活動期後のヒカルは「オフィシャル・ライター松浦靖恵さんによる庇護から巣立った」ようにも思われるのだ。昔は彼女がメディアに対して両方からの防波堤役をしてくれていたのを、今のヒカルは自分でこなすようになったのだと、まぁそういうことなのかなと。

1999年以降とんでもない注目度になった宇多田ヒカルの雑誌露出を松浦さんはかなりの割合で「独占」していたのだから、それはそれはこちらの与り知らぬ所で大変な苦労があった事だろう。ヒカルはそのお陰で、オフィシャル・インタビュー以外は、音楽専門誌の表紙特集などに絞ってメディア対応をしていればよかったのだ。そんなだったので、最初の12年の間にヒカル・ファンになった人たちにとって、松浦靖恵さんのお名前はお馴染みもお馴染みでね。だってみる雑誌みる雑誌みんなインタビューアが松浦さんだったんだもの。その書き分けの妙にも大変楽しませて貰ったので、同じインタビューだからと雑誌を買い控えることもなかったし。懐かしいな、いろいろと。

そういった事情が背景にあったので、今回『Passion』の歌詞についてのヒカルのコメントがどんなだったのかを確かめる為に真っ先に彼女に訊こうと思った次第である。気さくに答えて貰えて大変感激致しましたです。なので、また何かあったら答えて貰おうっと♪(…やれやれ、厚かましいったらありゃしない(苦笑))