無意識日記々

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「ハイブリッド・ライブ」への期待。

散々25周年に託けてツアーだライブだと煽っているが、現実問題として宇多田ヒカルのコンサートというのは余りにも考慮すべき要素が多く、果たしてそれらの問題を解決出来るのかというのは常に心配になる。

まず、時期だが、これはシングルマザーとして息子を育てている以上夏休み期間がベターだと言わざるを得ず。もっと言えば他の時期のツアーは難しい。『Laughter in the Dark Tour 2018』が秋冬公演だったのはダヌくんがまだ3歳だったからだ。この理屈で行くと暫く秋冬のツアーはないよね。

また、会場のキャパシティも悩ましい。ヒカルの動員力というのは、ツアーをホール~アリーナクラスにすると抽選にせざるを得ず行けない人が出て来る。かといってスタジアム・ツアーが出来るかというとこれは悩ましい。『Bohemian Summer 2000』では追加公演がスタジアム3daysで10万人動員だったが、なんだかんだで首都圏の球場だったし時期も学生なら夏休みだったし。あれをもって「いつでもどこでも全国のスタジアムを回れるよね」とはとても言えない。何より、23年も前の話だし!

会場といえば流石にそろそろ日本以外の国も回らないと暴動が起きるよね(どこでやねん/洒落にならないとこもあるか…)。まぁ寧ろ今の円安な時期は日本に旅行しやすくなってる気もしなくもないがだからってファンが皆来日できる訳もなく。

ツアーメンバーがその時期に招集できるかも悩ましい。そりゃソロアーティストなので「そのとき空いてる人に頼む」のでいいっちゃいいのだが、ヒカルはどちらかというと気心の知れたメンバーでアットホームな感じでツアーしたい方じゃないかなぁとも思うので。

…だなんていろんな事が懸念される中、ライブ・パフォーマンスに関してはこの2~3年間様々なアプローチが為されてきた事に気づかされる。

2020/5/31:インスタライブで『誰にも言わない』を弾き語り

2022/1/19:『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』配信

2022/4/16:コーチェラ・フェスに出演、5曲披露。

2022/7/21:表参道でシクレライブ、Floating Pointsと『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』披露。

2022/8/22:NHK WORLD JAPAN「SONGS OF TOKYO」で『BADモード』を歌う。

2023/1/19:『40代はいろいろ♫』で3曲披露。

目立ったものを列挙してみたけれど、ほんに凄いなここ最近!

まず、こちらへの届け方が多岐に渡る。インスタライブに有料オンラインライブ、海外フェスの生配信に世界発信のテレビ出演、更に360RA配信と。誰でも出来るインスタライブ配信から最新鋭の技術の粋を集めた重厚な企画まで、フットワークの軽さもみせつつ一流アーティストとしての実現力の高さを示す一面もしっかりと見せてくれている。かなり様々なケースに対応できる経験を、ヒカルとスタッフは積んできているのだ。

また、「演奏形態」も振り幅が凄い。インスタライブではヒカル一人でキーボードの弾き語り。一転スタジオライブではそのままでもコンサートツアーに出掛けられるフルメンバーを取り揃えた。と思ったらフェスティバルには88risingの一員という思いもよらなかった変則的なフォーマットで歌ったし、シクレライブではその時日本に居合わせた(?)Floating Points一人だけをバックに歌った。テレビ出演は相変わらずカラオケだけど、『代は』イベントでは少人数のバンド編成でも聴かせるところを見せてくれた。一人や二人から大所帯まで、いやホントに沢山の可能性をこの2~3年間で見せてきてくれているのだ。

次にツアーをしてくるとなると、これらの「配信形態」と「演奏形態」を通じて培った経験値とノウハウをフルに活かしてくれるかもしれない。もし日本国内ツアーに留まった場合はどうやって国外に配信するのかとか、或いはその逆に世界ツアーに出て日本でライブがない場合にどんな手段で映像と音声を届けてくれるのかとか。ツアーの最中に小さい箱でシークレット・ライブを敢行するのか、或いは唐突にフェス出演して度肝を抜いてくれるのか。楽しみは尽きない。

そう考えると今最初に列挙した心配点は、悉く克服してきてくれるんじゃないかという期待感も出てくるのよ。恐らく、今までのコンサートツアーの中で最も「ハイブリッドな見せ方」をしてくれることに、なるんじゃないかな。映画館でのライブ・ビューイングとフルサイズ全世界無料生配信(今思い出してもとんでもねーな…)を敢行した2010年の『WILD LIFE』を上回るインパクトが生まれる予感です。