無意識日記々

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歌詞の話は長丁場になるので、焦らずいろんな話を挟みながら。

宇多田ヒカルのアルバムタイトルを並べてみる。

First Love
Distance
DEEP RIVER
ULTRA BLUE
HEART STATION

結構シンプルな語が並んでいる。英語としても比較的平易だ。HEART STATIONという名なんかは、発売当初に指摘した通り英語で使用頻度の高い順から9文字が使われている。それは偶然にしても、ヒカルが基本的に小難しい主張をしている訳ではない事が伝わってくる。

それと同時に、この並びをみると、少しずつタイトルのスケール感が増していっているようにもみえる。

1st AlbumはFirst Love、ご存知初恋という意味だが、ここでちょっと捻って考えよう。Loveが"0/ゼロ"だと思うのだ。テニスで0対0をラブオールというあれである。とするとこのタイトルは『初めの0』、或いは『1つめの0』という意味になる。端的にいえば1と0である。

幾何学的にみれば、1と0が出現したら距離が定義され得る。Distanceだ。二点間の距離が定義されればそこに直線ができる。直線に時間を与えればStream、流れが生まれる。河、Riverである。その河に立体的な深さ、Depthを付与する事もできよう。DEEP RIVERの完成である。河は流れて大海に出る。その大海を割ってでも前に進んだのが、モーゼの奇跡、出エジプト記EXODUSだ。しかし海はまだまだ大きい。その大海に漂い、仰ぎ見る大空がULTRA BLUEであった。

そして今度はHEART STATION、Heartとは物事の中心であり、Stationとは局、局所局材の事だ。0と1から始まり、距離をもち時間が流れ深さを追い求め海を割り仰ぎ見た大空に向かい合うこの小さなひとつの世界の中の局所に居る私。これが1人、ひとつという事だ。This Is The One。最後は仰ぎ見た大空の更に向こう側の宇宙を夢想してこの第1幕が終わるのだ。

やや駆け足だが、この12年の光の世界の変遷が、おおざっぱにでも表現されているとはいえまいか。タイトルは、シンプルにみえて非常に、非常に重要なのである。