無意識日記々

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Why twice, keep tryin',tryin'?

さてキプトラの歌詞の話に戻ろう。

そもそもこの歌は何を歌いたい歌なのか。『keep tryin', tryin'』だ。ただタイトル通り『keep tryin'』と言うだけでなく『tryin', tryin'』と力強く2回繰り返したい。余談だが『tryin'』は歌詞カードでは『trying』だっけか。あとで確認しておく。

さてその2回繰り返し、いきなりやったらくどい。どうやって自然な流れでここまで辿り着けるかが勝負である。

そして、その前段となるのが、コメントで指摘もあった通り直前の『情熱に 情熱に』なのだ。ここが2回繰り返しなお陰でリズムに載せてスムーズに『keep tryin', tryin'』に雪崩込める。寧ろ、こっちがやや濃いお陰で『keep tryin', tryin'』がしつこくならないと言った方がいいか。

そしてその情熱の2回繰り返しの為に、『いつまでも いつまでも』が更に前段として控えている訳だ。ここの周到さは前に解説した通り第1&第2文節でもなければ第3&第4文節でもなく第2&第3文節に配したところにある。ただの繰り返し3連発では過剰となって逆効果だ。メロディーの載せ方を3つとも変える事で、3つの繰り返しが個々に色を出してカラフルかつフレッシュで歯切れよいパートが完成する。

『情熱に』は2つとも同じメロディーだが間に休符がしっかり入るのが味噌、『tryin', tryin'』は階段を二段降りるように、1つめで一段降りて、そこからまた一段降りる感じだ。勿論それは『情熱に』『お父さん(他みなさん)』が上昇フレーズである事と対になっている。

対の要は『keep』で、このパートでいちばん高い音だ。音韻上ここがいちばん高い音だと示す為に、"キ"の音(即ち子音が[k]、母音が[i:]の組み合わせ)が選ばれている事にも注目。これは人間の聴覚の自然な生理に沿った選択なのだ。日本語でも、甲高い声の事を"キンキン声"と言ったりする。"キ"の発音は"高い音"のイメージを喚起しやすいのである。

目標である『keep tryin', tryin'』のそういった音韻構造を踏まえた上で、『情熱に』と『いつまでも』が選ばれた経緯については、また次回。いや次のエントリーすぐとは、限りませんけどね。