無意識日記々

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IN FLAMES 「Soundtrack To Your Escape」 (2004)

Soundtrack to Your Escape

Soundtrack to Your Escape

(前回のレビューからの続き) …となると、この7枚目のアルバムはJUDAS PRIESTでいえば「Point Of Entry」にあたる作品に…なるのか? 「Point Of Entry」といえば、JUDAS PRIEST随一の失敗作と名高い逸品で、最も影の薄い作品といわれることが多いが、確かにこの7thアルバムもIn Flamesにとって一番影の薄いアルバムであるとはいえるかもしれない。が、そこまでクォリティが低いわけでもない。ただ、この作品の評価が低いのは、「1曲目が弱い」という1点に尽きると思う。IN FLAMESのアルバムの1曲目といえば超名曲目白押しである。“Behind Space”、“Dead Eternity”、“Jotun”、“Embody Invisible”、“Bullet Ride”ときてこのアルバムの“Fr(i)end”である。悪い曲ではないし、アルバムの中盤に配すればよい役割を果たしたと思うのだが、タイトルの妙ちきりんな表記に象徴されるように、どうにも一捻りしたヘヴィ・チューンで、インパクトという点で余り強くない。このあとはメロウでヘヴィな“The Quiet Place”から突進力のある“Dead Alone”へといつものIN FLAMESらしい展開が待ち受けているのだが。このアルバムは中盤も充実していて、特に6曲目の“My Sweet Shadow”から沈み込むような7曲目の“Evil In Closet”、そしてそこからもう一度エキサイティングに逆襲してくる8曲目“In Search For I”への流れは今作のハイライトだろう。その後にも“Superheroes Of The Computer Rage”のようなキャッチーな楽曲が控えている。結構充実した内容、なんだが、やっぱり掴みが弱い。あと終わり方もなんか捻っているのも印象を地味にしている。この、最初と最後に変化球を配したアルバム構成がこのアルバムの個性といえば個性だが、IN FLAMES初心者に最初に勧めるかというとそれはない。他のアルバムから順番に聴いていってここに辿り着ければいいよね、という感じである。(83)